作品自体が糸や布、紙などを使ったものなので、額縁も手持ちの無垢材を加工して自作しようと、早くから決めていた。
材料を見繕うと、18ミリ厚のヌキ板を縦に裂いた幅50ミリの廃材が何本か見つかった。枠幅は大きめのほうが雰囲気に合う。長さも手頃なので、これを加工することに決める。
以前はコーヒーテーブルの枠に使っていたので、あちこちにビス穴が空いている。同じ木材を削って埋め、擦り傷は水に浸して目立たなくする。
その後加工に入ったが、端部を完全な45度に切断しつつ、内側を作品の表示部分より1ミリほど小さい長方形に仕上げなくてはならず、非常に難しい作業になった。
45度を正確に切る専用工具は持ってなく、三角定規を使った墨出し線だけが頼り。最初は大きめに切断し、その後現物に合わせて電動ノコと紙ヤスリで微調整しつつ進めた。
かなりの時間をかけて、ようやく満足できる部材に到達。珈琲で一服してから、組立て作業へと進んだ。
直角と内側寸法をチェックしながら、部材の表側からガムテープで仮固定。そのままそっと裏返して、端部の接触部に木工用のタイトボンドを薄く流しこむ。ギター補修用に買ったボンドなので、接着力は強力だ。
一晩おいたあと、裏面から補強のU字釘を打ち、紙ヤスリで補修してから塗装作業に進む。作品本体は額縁の止め代分として1センチ大きい台紙を使っているので、仕上がった額縁に裏側から細い釘で固定すればよい。
完成までにはもう少しかかるが、一番デリケートな部分は終わったので、先は見えた。