年内の依頼はもうないはずだったが、1週間前に突然の電話があり、予定していた秋祭りのボランティアにキャンセルが出たので、何とか歌っていただけないか、との打診。厳しいスケジュールだったが、該当日は予定が空いている。
いわゆる義理人情の世界に近づくが、長いおつき合いがある担当者の顔を立てる思いもあって、お受けすることにした。
先月とは曜日が異なるので、利用者の顔ぶれも変わる。しかし、秋祭りということで、先方はノリのいい曲と、長めの演奏時間を求めていた。短い準備時間のなかで工夫を重ね、新しい試みをいくつか加えて臨んだ。
夏でも50分はかかる距離だが、今日は空いてそうな別ルートを初めて通った結果、40分強で到着。前の出演者が少し伸びた関係で、15時5分から開始。アンコールを含めて55分で15曲を一気に歌った。(※はリクエスト)(◎は初披露)
「高原列車は行く」「二輪草」「炭坑節」「バラが咲いた」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「抱きしめて(オリジナル)」「埴生の宿」「まつり※」「星影のワルツ」「ラブユー東京」「時の流れに身をまかせ」「ミネソタの卵売り◎」「東京ラプソディ」〜「小樽のひとよ※(アンコール)」
2ヶ月連続ということもあって、このところ使っている構成に、いくつかの修正を加えた。
・2曲目定番曲「おかあさん」を介護施設では初めて歌う「二輪草」に差替え
・民謡枠「花笠音頭」を「炭坑節」に差替え
・中盤にノリのいいオリジナル「抱きしめて」を歌う
・唱歌枠「浜辺の歌」を「埴生の宿」に差替え
・後半に介護施設ではあまり歌わない「ラブユー東京」「時の流れに身をまかせ」を
・ラスト前の定番曲「月がとっても青いから」を初披露の「ミネソタの卵売り」に差替え
・時間調整のため、反応のいい数曲をフルコーラス歌う
いずれもマンネリを避けつつ、ライブ時間を長くする意図だったが、40名ほどいた聴き手で途中で席を外す方は皆無に近く、ライブはほぼ当初の思惑通りに運んだ。
介護施設系ライブの構成で、最も気を配るのは曲順とその曲調。たとえば1曲目なら、ノリがよくて明るい曲調で場をつかむ。「北国の春」「憧れのハワイ航路」「高原列車は行く」などを季節に応じて歌い分けている。
2曲目には森昌子の「おかあさん」を多く歌ってきたが、代替曲が見当たらなかった。明るくて手拍子も打てて、季節感が薄い。色恋エキスが少なく、歌詞にホロリとくるそんな曲。持ち歌を再検討してみると、「二輪草」が何だかいけそうな気がした。
過去にほとんど歌ってないが、これは当たった。自然発生的に緩やかな拍手も飛び出す。2曲目として充分使える。
同じ事情で、ラスト前には「月がとっても青いから」を長く歌ってきたが、毎回だとさすがに飽きられてしまう。ツイッターで悩みを書いたら、とあるフォロワーさんからすぐにメッセージが入った。「ミネソタの卵売り」はいかがですか?と。
ラスト前の曲には、フィニッシュになだれこむ勢いが必要だ。しかし、ラストとはひと味違うテイストが欲しい。曲が長すぎてもいけない。レパートリーにはなかったが、「ミネソタ…」は条件に合う印象がした。
さっそく歌詞等を調べたが、コードがどうしても見つからない。やむなくYouTubeから音を拾って、自分でコードを当てた。
数回歌ってみると、いけそうだった。少なくともお祭り向きのニギヤカな曲調であることは確かで、思い切って本番で歌ってみることに決める。
短時間の練習にも関わらず、結果としてこちらも当たった。担当のTさんが、「知らない曲ですけど、みなさんすごく乗ってますね!」と驚いていた。
60数年前の曲だが、教えてくれたのは私の娘のような世代の方だ。とあるライブで一度お会いしただけだが、貴重な情報に感謝したい。
長い演奏時間だったが、この2曲に限らず、外れのほとんどない手応え充分のライブだった。もうネタは出尽くしたと思っていたが、まだまだ改良の余地は残っている。
今後の目標は、中盤の盛り上げに欠かせない「高校三年生」に匹敵する代替曲を探すこと。明るくて手拍子も打てて、色恋エキスが少なく、懐かしく昔を振り返る曲。きっと見つかる。