ところがこの日は、途中で母の暮らす施設に書類を郵送する必要があった。(母の暮らす施設は提出書類が非常に多く、しかも煩雑)さらには、1年近くJRに乗っていないので、ICカード「キタカ」の残額が分からず、事前に確かめなくてはならない。
いつもより早いペースで歩き、途中で郵便物も投函して、16分で駅に着いた。駅に備え付けのチャージ機で確認すると、残額は680円。往復に使っても充分足りる。
電車の時刻が迫ったので、何気なくICカードを電子改札機に通した。すると、突然警告音が響き、扉が閉じてしまう。残量は充分あるはずが、なぜ…?
駅員が飛んできて、改札機を開ける。中で止まっていたICカードを抜き取り、「お客さん、カードはパネルにタッチして通過してください」とたしなめる。そうだった、しばらくJRに乗ってないので、つい間違えてしまった。
カードを受け取ってパネルにふれるが、うんともすんとも言わない。駅員に渡してやってもらっても、結果は同じ。事務室内のチャージ機で確認するが、全く無反応という状態だった。
裏面に2本のキズがついてしまい、データが読み取れない状態になっているという。そうこうするうち、電車がホームに入ってきたので、普通に券売機で切符を買って飛び乗る。
「カードは事故として再発行可能です」と、駅員の叫ぶ声が後ろで聞こえた。
食事会終了後、再度駅に立ち寄る。交代していた別の駅員に詳細を告げ、対処法を尋ねると、1日の猶予があればカードの再発行は可能だという。データは読めないが、カードに固有の16桁の番号があり、ホストコンピュータで調べれば、残高も確認できるという。
その場で手続きしてもらい、「再発行登録票」なるものをもらって帰宅した。
1日経って受け取りに行ったが、身分証明書の提示と書類への記入などあって、無料で新規のカードと交換してくれた。念のためチャージ機で残高も確認。
2年近く前の新規購入時に、「保証金」と称して500円を支払った記憶があるが、どうやらそのお金が今回活きたらしい。
どうにか無駄な出費をせずに済んだが、「キズがつく前にカードを戻す処置が、なぜ改札機に施されていない?」と、システム側の不備を責める以前に、「地下鉄と同じシステムのICカードを、なにゆえ改札機に通そうとした?」と、自分のマヌケさ加減に腹が立ち、しばし落ち込んだ。
言い訳がましくなるが、直前にやったチャージ機での残高確認が、まさに差込み方式だった。JRでのカード利用が1年ぶりだったこともあり、その延長で行動してしまったように思える。
つまりは、思考回路のズレ。同種の過ちを繰り返さないよう、せいぜい気をつけねば。