曜日毎に利用者が入れ替わるので、場所は同じだが、顔ぶれはいくたびに変わる。私が歌うことを知って、本来の利用日ではない方が急きょ参加されることもあって、同じ顔も皆無ではない。
約束の15分前となる14時45分に到着。この施設はライブ中の飲み物や食べ物のサービスは一切なく、歌に集中できる条件が整っている。施設側の配慮を感じる。
15時2分くらいから歌い始める。休憩なしのちょうど1時間で、リクエストをまじえ、18曲を一気に歌った。
「北国の春」「お富さん(リクエスト)」「宗谷岬」「真室川音頭」「みかんの花咲く丘」「二人は若い」「リンゴの唄」「草原の輝き」「さくらさくら」「お座敷小唄」「釜山港へ帰れ」「いい日旅立ち」「浪花節だよ人生は」「花笠音頭」
(ここからアンコール&リクエストタイム)
「酒と泪と男と女」「待っている女」「知床旅情」「憧れのハワイ航路」
ニギヤカ系の曲をおおむね好む場だが、要所に唱歌系の静かな曲を配置してメリハリをつけたが、これが見事にハマった。あたかも人生の歩みのように、笑いと涙が交錯する展開。ここ数日、充分に歌いこんだこともあって、喉も絶好調に近かった。
長い演奏を望まれる施設なので、状況次第では途中で休憩をはさむつもりでいたが、そんな雰囲気には全くならず、あっという間に当初予定の14曲が終了。この時点で時計は15時45分を指している。
その後、最近の定番となっているアンコールをかねたリクエストタイムに突入。今回は大半の要望に応えられた。
(ちなみに、「お富さん」は予定曲とリクエストが偶然一致)
唯一譜面が見つからなかったのが、目下練習中の「長崎の鐘」。あとで調べてみたら、かなり前に「NEW」という特別なファイル名でまとめて保存してあったことを思い出した。時間的には残りの4曲でぴったり収まったので、よしとしたい。
介護施設では初めて飛び出したリクエスト、「酒と泪と男と女」では一瞬面食らった。80歳くらいの女性からだったが、この施設では以前にも「なごり雪」「あの素晴しい愛をもう一度」のリクエストが利用者から出ている。フォーク系の曲が受け入れられる施設なのだ。何とも嗜好が新しい。
その「酒と泪と男と女」、週末に地区センターで実施予定の叙情歌サロンでのリクエスト曲一覧にも入れてあるので、おさらいとして最近練習したばかり。思いがけず高齢な女性からの希望ということもあって、気持ちは乗った。
歌の進行に伴って、場からの強い「気」を感じた。過去最高とも思える出来。終わったあとで、職員さんから「あの曲で泣いている人がたくさんいましたよ」と告げられた。むろん悲しみの涙ではない。
先月のチカチカパフォーマンスでの反応が2度続けて思わしくなく、自信を失いかけていただけに、大きな励みとなった。条件さえ整えば、まだまだ働ける場はあるのだと、今後の自分の方向性を再確認できた。