結婚時には東京でサラリーマン生活をしていたので、狭いアパート暮らしでの椅子やテーブルは邪魔になるだけ。簡単に片づけられて、寒い時期には暖もとれる電気コタツが合理的だった。
椅子らしきものは忙しい朝食時にだけ使う小さなテーブルと椅子、そして建築士の勉強をするための折り畳み椅子だけだった。
そんな生活は脱サラして自宅で仕事をするようになってからも延々と続く。マンションを購入して広めの家に移ったのを機に、完全な椅子生活に切り換えようとした一時期もあったが、うまくいかなかった。
妻や子どもたちが床に座る暮らし方を望んだからで、それに合わせて自作の大型テーブルも撤去。天板だけを電気コタツ用として自力改造した。
「暮らしに合わせて家具は自分で作る」それが長年続く私の生活スタイルだ。
改造前、最後の堀コタツ |
床に座る暮らしは、自ら設計した戸建住宅に引っ越してからも踏襲されたが、40年を経てそんなスタイルに突然の終焉が訪れたのは、やはり妻の希望からだった。
昨年の旅行で痛めた膝の回復が思わしくなく、堀コタツへの出入りが次第に苦痛になってきたという。最近はないが、私もひどいギックリ腰の時に同様の症状に襲われた。悲しいが、加齢による布団からベットへ、コタツから椅子へという流れは、もはや避けがたい定めのように思われる。
堀コタツの上にある既存のテーブル天板(外寸970×1250)はそのまま利用し、脚だけを交換することにした。もともとが手作りなので、改造は簡単。
一昨年やった南壁張替えの残材(ヌキ板)を利用し、37センチあった脚を67センチに延長。一般的なテーブル高さは70センチだが、くつろぎ感を得るため、やや低めにした。
写真左側は妻の座る場所だが、ここには2階での自宅ライブ時に使っていたベンチを短く切って置いた。(450×1200、高さ400)右側の私の場所には、新婚時に買った大きめの椅子を置く。昨年9月に妻のために作った低座椅子はお役御免となり、観葉植物の台に転用した。
手前には切ったベンチの残りで小さめの椅子を作って置く予定。暫定的に2階仕事場にある自作トリチェアーを置いた。堀コタツ部分には、これまで床下で使っていたスノコ式の板を敷き詰めて蓋をした。
夕食前に完成し、試しに座ってみたが、いくつか問題があった。まず、テレビが見下げる形になり、少し見にくい。TV架台の手前にヌキ板を1枚敷き、画面をやや後ろに傾けたら解決した。
テーブル真上にある2つのペンダント灯のプルスイッチが頭にぶつかって邪魔になる。ヒモを2つに折り、最下端に手頃なボタンをつけて対処した。
さらには、床下暖房からの暖気上昇がやや弱くなった気がしたので、真ん中にあるスノコ板を外した。
何せ結婚後40年にして初めての、いわばルビー的な生活スタイル大改変である。今後また別の問題が出てくる可能性はあるが、時に応じて変わってゆくのが住まいであり、暮らし方である。費用を極力かけずに、創意工夫と手仕事で対処していきたい。