2013年7月31日水曜日

さわってください

 夕方に来月末実施の地域医療勉強会余興の打合せに出向く。会場の下見とスタッフとの顔合わせ等が目的だが、会場の街づくりセンターは先日青空コンサートを実施した大規模公園のすぐ近く。毎年敬老イベントに招かれる地区センターにも近く、何かと縁のある地域だ。
 同年代の女性スタッフ3名と打合せたが、元々は妻の職場友だちの紹介で、先方はブログ等でも私の活動をよく知っていた。

 会場の様子を見て、勉強会からの転換の段取りを調整、最後に予定のプログラムを決めた。聴き手が60代70代の女性中心ということで、7月からやっている介護施設系の夏向きライブ構成をベースにしたが、介護施設では演れない曲もかなり入れていただいた。


 街づくりセンターでの打合せ後、近くの安売りスーパーで必需品を調達。定番品をカゴに詰め込み、切れていたブラックニッカも入れた。レジで精算していたら、担当の若い女性が不可解なことを言う。
「ここにさわってください♡」

 実際のやり取りに「♡」マークはないが、一瞬ドキリとした。何を言っているのか意味が分からない。「え?ど、どこに…」
 担当のレジ女性、作業を休めず、(しょうがないオヤジだな…)といった表情で、空いている左手で目の前にぶら下がった看板の一部をつまむ。そこには次のような文字が。
「私は20歳以上です」
「あ~、アルコールですか。ハイハイ」
 要するに「年齢確認」というシロモノで、看板の文字に触れると、「確認しましたよ~」というお墨付きが得られる仕組みらしい。しかし、どうみてもオイラは20歳を超えているでショ~ガ…、と一瞬いまいましくも思ったが、まあルールはルールだ。

 家に戻って妻に顛末を話しつつ、「一瞬若い子の身体にタッチしそうになったぜ、オイラ」とふざけると、「もしやってたら、いまごろは警察署行きだったわね」とクールな妻。確かに。

2013年7月30日火曜日

ミッキー枡

 とある家に、ミッキーマウス的なオブジェがある。車庫床のレンガタイルの一部に設けられた塩ビ製の排水桝がそれで、私にはどうしてもミッキーマウスに見えてしまうが、どうだろう?
 最初に発見したのは帰省中の息子で、一見すると普通の排水桝だが、「意図的に作られた気配がする」との意見。


 いちおうは建築のプロで、以前は汚水処理関係の仕事もしていた。排水桝には詳しいが、このような大小3つの蓋が、ミッキー風に都合よく並んでいる枡は市販されてないはず。
 気になって調べてみたが、下記の既製枡が最も近い形状に思われるが、それでも蓋は大小各1個しかない。すると、写真にある枡は特注品か?
最上流設置用、起点トラップ桝
(メイン配管100-トラップ管75パイプ-掃除口150)


 よく観察すると、右側の小さい蓋はやや水平が傾いているように見える。もしかして、本来はついていない蓋をデザイン的に並べたのではないだろうか?
 人様の敷地なので、勝手に入って調べるわけにもいかず、写真ですら歩道から何気なく景色を撮影するフリをして、ズームで素早く撮ったもの。ただの偶然である可能性もあり、真相は不明。

 そのミッキーマウス、著作権には非常に厳しく、営利とは無関係に趣味で自宅の塀にペンキで描いても、すぐに正式抗議されると聞いた。シルエットだけでも訴えられることがあるとか。
 まさか排水桝の蓋だけで問題になることはないとは思うが、場所はヒミツにしておく。

2013年7月29日月曜日

未知の世界

 激しい雨の音で目覚めた。集中豪雨の余波は北海道にも及んでいるようで、夕方まで断続的に強い雨。月末特有の用事はあったが、明日に順延して終日家に閉じこもっていた。

 小学校の恩師から手紙が届き、ご主人が入院している病院の夏祭りの情報チラシが入っている。病院理事長と院長が小学校の同窓で、旧知の仲。文面では意図がはっきりしないので電話をしたら、「スケジュールが空いていたら、夏祭りで歌っていただけないか」との打診。
 8月はハードなスケジュールが詰まっているが、今週末の当日はたまたま空いている。対応は可能ですが、問題は病院側の都合で、残り1週間を切った段階で、突然恩師の仲介で同窓生がイベントに飛び入りすると、先方が困りませんか?と申し上げた。

 これが昼過ぎの話で、ではいまから直接病院に行って、打ち合わせてきますとのこと。80歳近いはずだが、自在に車を運転していて、年齢に似合わぬ行動的な恩師である。
 夕方に再度の連絡があり、ステージが屋外で聴き手が入院患者ということもあり、時間は長くとれない。急なスケジュール変更は難しい。屋内イベントの折にでも、ぜひご協力を、との返答だった。
 ほぼ予想通りの展開だったが、もし予定が追加されていたら、かなりの綱渡りになっていた。義理は大切だが、ちょっとホッとした一面も正直いってある。
 週末の別のイベントに備え、準備作業に入ったが、JR郊外駅近くの大型スーパー内にあるオープン広場がステージである。
 全く未知の空間で、下調べはすでに済ませたが、空間が広くて天井も高い。しかも交流電源が使えないという悪条件で、乾電池式PAでは音が届きにくい恐れが大。先日調達したポータブル100V電源は、この場のために買ったようなものだ。

 主催は知人の紙芝居ボランティアのTさんで、いわゆるコラボ企画。告知はほとんどせず、通りすがりの一般市民を対象とするらしい。聴き手の層がどうなるのか、まるでつかみどころがない。
 同じ通りすがり対象のチカチカパフォーマンスの構成をベースに、聴き手の状況次第では、地域夏祭りイベント系の歌も随時はさむつもりでいる。咄嗟のアドリブ力が要求される。
 未知の世界は怖いが、自分をステップアップさせてもくれる。やりがいはある。

2013年7月27日土曜日

過去最高?のライブ

 午後から少し遠い場所にある介護施設に歌いに行った。ネット経由でかなり前から依頼されていた、全国組織で運営している施設。札幌市内にも多数あって、調べてみたら過去に3ヶ所の施設で歌っていた。
 今回の施設は初めての訪問。余裕を持って家を出たが、空いている北の迂回路を通ったので、片道23Kmの距離を40分で到着する。この日は20年前に所属していた中年サッカーのチームメイトがネットで偶然私を見つけ、「後学のために」と、ライブを見学にくることになっていた。
 開始は15時からだったが、15分前にそのMさんが到着。いまでも中高年チームでサッカーを続けているそうで、定年後の生き方のひとつに、ボランティア活動を考えているとか。サッカー以外の得意ジャンルである弾き語りをそれに活かせないか…、と思案中であるとか。
 旧知の仲なので、情報提供を含めた協力は惜しまない。まずは自分のライブの一部始終を見届けていただくことだ。


 予定より早い15時2分前からスタート。この日は4日前の介護施設ライブに準じ、夏むきの曲が中心である。ただ、初めての施設なので重複を考慮する必要がなく、メリハリをつけた構成はしやすかった。
 アンコールを含め、およそ40分で以下の13曲を歌った。

「憧れのハワイ航路」「バラが咲いた」「ソーラン節」「おかあさん」「浜辺の歌(ノーマイク)」「草原の輝き」「瀬戸の花嫁」「幸せなら手をたたこう」「高校三年生」「われは海の子」「ここに幸あり」「青い山脈」
「月がとっても青いから(アンコール)」
 歌い始めてみて驚いたが、音の反響が抜群によい。建物の構造に由来するものと思われるが、いわゆる「ナチュラルリバーブ」がほどよく効いている。弾き語り活動を本格再開して足掛け10年になるが、介護施設系でこれほど音のよい場には、初めて遭遇した。
(あとで担当のTさんに聞いたら、同様の指摘をしばしば受けるらしい)


 音のよさに呼応するかのように、1曲目からいきなり手拍子が飛び出し、50名ほどいる聴き手の反応も非常によかった。横に広い会場で、歌いながら順に聴き手を見回すよう努めたが、いきいきと輝く表情を返してくださる方が多数。
 聴き手が乗れば、歌い手もますます乗ってゆく。「ライブは聴き手と歌い手の両方で作り上げるもの」とよく言われるが、この日はそれを地でゆくような進み方だった。

 4日前の施設で初めて歌い、反応がよかった「幸せなら手をたたこう」をこの日も歌ったが、やはり受けた。「聴き手参加型」としては「二人は若い」に匹敵する歌だ。
「浜辺の歌」は得意の「ノーマイク、ウォーキング生歌」。聴き手との距離が間近になるので、どの施設で歌っても好評。いまや私のウイニングショットに育ちつつある。今後レパートリーを増やしたい。
 予定分の12曲を歌い終え、「それではみなさま、菊地さんにもう一度盛大な拍手を」と、進行のTさんのシメの挨拶も終わり、素早く撤収を始めたら、期せずして会場から「アンコール」のさざ波がじわじわと広がる。
 職員は全く関わっていず、作為のない自然発生的なアンコールだったが、当惑したTさんが近寄ってきて、「あのぅ…、アンコールは可能でしょうか…?」と、遠慮がちに尋ねる。それではと再度ケーブルをつなぎ直し、最近のアンコール定番曲である「月がとっても青いから」を歌って納めさせていただいた。

 久しぶりに会ったMさんと終了後に近くのカフェで話したが、「みなさんいいノリでしたねぇ、音程も正確で、ギターの音もいい。よく工夫された構成でした」との感想をいただく。
「実は今日は、過去最高に近い内容のライブでした」とお伝えしたが、いい場面に立ち会ってくれたと、偶然に感謝したい。

2013年7月26日金曜日

100Vポータブル電源

 昨日からテストしていた充電式100Vポータブル電源の中間結果がでた。アマゾンから8,590円で買い、届いたのが昨日のこと。アフリエイトのポイントが1,200円ほど溜まっていたので、実際の支払額は7千円ちょっとである。

 この機器を買ったきっかけは、手持ちのPA(ミニアンプ)3台のうち、音が最も安定していて、出力も30Wと最大である「ローランドCM-30」を電源のない場所でも使えないか?と思ったこと。(CM-30は交流電源のみ対応)
 最近になって「屋外かそれに近い広い空間」「天井の高い空間」しかも「交流電源がない」という場からの出演依頼が相次いでいて、先日終えたばかりの百合が原・青空コンサートも当初はその条件だった。
 活動の半分をしめるチカチカパフォーマンスでも、北3条広場はそれに近い条件で、他の広場ではそこそこ使える乾電池式のローランドMOBILE CUBEも、天井の高い北3条広場ではいつも非力を感じていた。
 以前にチカチカパフォーマンスを観た音楽関連の知人から、「歌はよいが、PAの音がいかにもチープ」と、率直な感想をもらったことがある。確かにPAは弱点だったが、新たに充電式の大型PAを買う余力はない。
(何らかの充電式交流電源があれば、手持ちのCM-30が使える…)と思いつき、いろいろ調べた結果、安価でコンパクトなこの品にたどり着いた。


 およその仕様は以下の通り。

●●
ノア家庭用充電式バッテリー100W NMP309AC
・最大出力100W×100V×50Hz
・12V9AH鉛蓄電池
・充電時間10~15時間(専用ACアダプター付属)
・27×10×22cm、4Kg
・使用時間目安:30Wノートパソコンで約3時間

 ユーザー評価もまずまずで、災害時の非常用電源として備えている人もけっこういる。(「バッテリは常に満充電にしておくこと」と取説にあり)手持ちのCM-30は消費電力32Wなので、少なめにみても2時間くらいは使えるかと期待した。
 取説に従って余裕を見て満充電し、昨日から実際に歌ってバッテリの消耗度を調べた。
 チカチカパフォーマンスや介護施設など、最近は30分きざみのライブ時間が圧倒的に多い。希望としては3ステージ分、つまりは1時間30分持ってくれれば、何とか使える
 昨日はまず30分連続で使い、3段階の残量表示ランプは3つ点いたまま。多少のノイズは入るが、音量も音質も通常の交流電源と比べて何ら遜色ない。

 今日は30分歌って5分休み、また30分歌った。昨日からの累計45分あたりで残量表示ランプのひとつが消えたが、その後累計で1時間30分歌っても、ランプは2つ点いたまま。つまり、まだまだ余力があることになる。
 いったい何時間まで使えるのか、明日以降テストは継続してみるが、すでに1時間30分持つことが分かったので、充分実用に耐えることが判明。移動時の重量は現状よりも増えるが、キャリーカートを使うようになったいま、あまり問題にならない。
 8月はこれを使う機会が最低2回はある。さっそく実戦で試してみたい。集客にどんな影響があるのか、ちょっと楽しみ。

(追記:その後累計で6時間0分を経たが、残量表示ランプは2つのまま。直後のライブ使用のため、テストを打ち切った)

2013年7月25日木曜日

ミシン三昧

 朝から強い風を伴う雨で、気温も低い。「春戻り」いや、早くも「秋の気配」漂う陽気だ。裏庭の草刈り作業が残っているが、当然ながら中止。溜まっているミシンがけを一気に片づけた。
 昨夜のうちに一部の布裁断はやっておいたが、以下のような作業を順に実施。

1)新しく買った3,000円ジーパンの裾上げ。
2)同じく新しく買った599円ジーパンの裾を細くする。
3)古いジーパンのバミューダパンツ化。
4)99円で買った端布でバンダナを作る。
5)同じ端布で夏用のタイを作る。


 ミシンにセットしてあった糸がグレーだった都合上、実際の作業は3)→5)、1)→2)の順でやっている。
 しばらくミシンからは遠ざかっていたが、まずまずの調子で、3)~5)まではすんなりと終わった。古いジーパンは捨ててもいいほど傷んでいたが、10年ほど前に妻が5千円近くもはたいてプレゼントしてくれたもの。まだ使える部分だけを夏用パンツとして残した。

 端布のバンダナは、買えば相当の値段がする代物。100円ショップにもバンダナは売っているがサイズが小さく、色や模様もありきたりで、使う気にはなれない。特に茶系のシックな色合いのバンダナは、簡単にはお目にかかれない。
 今回は同じ柄で夏用のタイも作ってしまったのがミソ。予想を超える出来栄えで、明後日の訪問ライブでさっそく使うつもり。
 調子よくやっていたら、4)の作業でトラブった。上糸の調子が悪く、途中で何度も糸が切れてしまう。厚い部分は電動でなく、手回しで少しずつ運針させ、どうにか仕上がった。
 思いついて上糸調節ダイヤルを大きく緩めてみたら、5)の作業は何ら問題なく終了。生地の厚さに応じて、微調節が必要だったわけだが、思い出した頃に全作業が終わっていた。

2013年7月23日火曜日

酷暑の訪問ライブ

 2ヶ月前に依頼されたばかりの近隣介護施設で、再び歌ってきた。歌って2ヶ月も経たぬうちにまた歌うことは、普通はない。しかし、担当の方や入居者の方々の強い要望ということで、お受けせざるを得なかった。
 先方が弾き語り系のボランティアをこれまで一度も頼んだことがなかった、という背景もあったと思う。増長していては痛い目にあう。

 とはいえ、頼まれること自体は大変ありがたいので、「前回とは曲を重複させない」という、自らに課したノルマに従い、季節感や起承転結などにも配慮しつつ準備した。


 急増する他のライブなどに忙殺され、構成が決まったのは実施日のわずか2日前。当日は午前中から30度を超える暑さで、会場に入ってみると扇風機はあったが、エアコンは入っていない。
 歌う側も聴く側も大変な酷暑ライブだったが、予定は予定。「菊地さんの歌声で暑さを吹き飛ばしていただきましょう!」という冒頭挨拶と共に、14時ちょうどから開始。およそ40分で以下の14曲を歌った。(※は初披露)

「憧れのハワイ航路」「埴生の宿」「ブンガワン・ソロ」「瀬戸の花嫁」「高原列車は行く」「浜千鳥」「草原の輝き」「幸せなら手をたたこう※」「われは海の子※」「星影のワルツ」「東京ラプソディ」「りんごの木の下で」
「青い山脈(リクエスト)」「月がとっても青いから(アンコール)」
 夏系の曲をズラリそろえたが、演歌系の曲が「星影のワルツ」くらいで、ややバタ臭い雰囲気になってしまった感じはする。
 本来なら早めに手拍子系の曲を入れて場を乗せるのが常だが、前回「お富さん」「ソーラン節」を歌ってしまった。「お座敷小唄」は冬の歌だし、「炭坑節」は秋の歌。季節を問わずに歌える手拍子系の持ち歌が少ない。今後の課題だ。
(家に戻って落ち着いて考えてみたら、「皆の衆」が歌えたことに気づくが、時すでに遅し)

 6曲目の「浜千鳥」は、例によってマイクなしで歩きながら歌うスタイル。今回も無難にまとめた。続く「草原の輝き」はアイドル系の曲で、こうした場では冒険だが、歌に合わせてフリをする方が複数登場し、意外な反応にびっくりした。決めつけずにやってみるものだ。
 初披露の「幸せなら手をたたこう」は、「二人は若い」に似た聴き手参加型の歌。予想外に受けて、会場は大いに盛り上がった。この曲は今後使える。


 同じく初披露の「われは海の子」を歌っていると、思いがけないことが起きた。近くにいた女性が「泣けるよ…」と、突然嗚咽し始めたのだ。ごく普通のメジャー調の唱歌で、いわゆる「聴かせる」歌でもない。もちろん(泣かせよう)などと狙ったわけではない。
 一瞬何が起きたか分からず、正直動揺した。続く「星影のワルツ」こそが悲しい別れの曲で、飛ばしてしまうことも一瞬考えたが、どうにか崩れずに持ちこたえた。
 あとで係の方に「なぜあの歌で…」と確かめたら、「菊地さんの声が泣ける」と、あの方は言っているんですよ、とのこと。つまり、曲調の暗い明るいは関係ないということになる。これに関しては多少の心当たりもあるが、まだ自分でもよくつかめていないので、今後の分析が必要だ。

 初めてカズーを使ってラストに歌った「りんごの木の下で」は、こちらが意気込んだほどの反応はなく、やや拍子抜け。ただ、(いったい何が始まるんだ…)と、場を引きつける効果は充分にあった。
 位置づけとしては、ハモニカやフットタンバリンに似ている。しょせんは飛び道具の部類で、忘れた頃にカンフル的に使ってこそ意味がありそうだ。
 あれこれあって、いわゆる「意外に低い2度目の壁(2度目の依頼)」は無難にこなし、確かに喜んでいただいた。チカチカパフォーマンスで会得した暑さ対策も効果的で、最後までバテることはなかった。
 退出時に「次回は秋にぜひお願いしますね」との話も飛び出したが、「はるかに高い3度目の壁」が実現するか否かは、神のみぞ知る領域の話なのである。

2013年7月22日月曜日

カエルのカズー

 あれこれ追われてしまい、わずか2日しか準備期間がなかったが、どうにか明日の介護施設訪問ライブに滑りこみで間に合いそうだ。
 どのライブでも季節感に重きを置いて構成するが、今回は「前回からわずか2ヶ月後の再依頼」という難しい条件が加わった。チカチカパフォーマンスの実証試験にすっかりエネルギーを奪われたこともあるが、夏系の曲で前回と重複なしで全てを構成するのは、実に難しかった。

 PAなしの生歌とか、聴き手参加型の歌など、起承転結に腐心した手法が先方に気に入られ、短期間での再依頼につながったのは担当者からも知らされていたが、それに甘えて同じ曲の連発はしたくない。
 持ち駒を総動員し、「同じ場で同じ曲は続けて歌わない」という自分の矜持は、何とか死守できそうだ。


 とはいえ、マニアックに走らずに場を盛り上げるにはどうすべきか、いろいろ考えを巡らせたすえ、聴き手参加型の新しい曲をひとつ会得し、さらには以前に友人にもらったカエル印の「カズー」という楽器を初めて実戦で使ってみようと思った。
 楽器といっても、ちょっとした笛のようなもので、自分の声が違う音色で響く代物。アフリカがルーツとかで、口に加えて音を出す。

 ギター弾き語りではハモニカホルダーにはさみ、間奏などで使う。ひょうきんな雰囲気を出したいときに有効で、叙情的な曲にはむかない。プロでもRCサクセション、ゆず、いきものがかり、山崎まさよし、などが使っているらしい。
 明日はラストの曲で使う予定で、ハモニカホルダーで保持しやすいよう、木材端材で補助パーツを作った。練習ではいい感じだったが、はたして本番ではどうか?
 このところライブの依頼が相次いでいて、今日もネット経由で新たな依頼があった。「学童保育所の夏祭りイベント」という難しいもので、以前なら尻込みしていたが、スキルの向上したいまならどうにかこなせる。(基本的に子供相手は苦手)
 実はつい先日も似た内容の依頼を受けたばかりだが、期日がうまく1週間ずれていた。8~9月はすでにかなりのスケジュールで埋まってしまった。嬉しい悲鳴だ。
 こうも依頼が相次ぐ理由を自己分析してみた。

・身軽で小回りの効くソロである。
・平日でも対応可能。
・それなりの実績がある。
・ネットで情報を広く公開。

 あくまで推測だが、このような事情が背景にあるように思える。そして、それに応えられるボランティアが不足している。求める場は今後も減ることはないように思えるが、自己主張には熱心でも、社会に対するサービス精神に長けたパフォーマーとなると、あまり見かけないのが現状。

 以前に若い方から「ボランティア演奏の手法を伝授して欲しい」と頼まれたことが数回あるが、当時は自分に余裕がなく、お断りした。今後は若い世代の育成にも力を注ぐべきかもしれない。

2013年7月21日日曜日

初物ラズベリー

 昨日に引き続き、雑事に追われた。昨日忘れていたゴミステーションの掃除をまず実施。水入りのバケツとブラシ、そして鎌を持参して入念に掃除。当番表を次の家に引き継ぐ。
 気温がぐんぐん上がって、ちょっとした作業でも汗が滴る。早めの昼食をとり、脚立とコーキング道具一式、そして保冷剤でくるんだチョコレート等を積んで出発。
 まずヤマト運輸に寄って、秋のリサイタルチケットを先日送ってくださったオペラ歌手の清水紫さんに、お礼のオリジナルCDを送る。昨年GWの復興支援コンサートで、5曲のギター伴奏を務めただけだが、義理堅い方である。

 その後、母の暮らす施設に向かう。新しい保険証が届いていて、施設側に写しを預ける必要があった。かなり間があいたせいか、母は私の名を思い出すのに、少し時間がかかった。
 冷えたチョコレートを友人2人と共に食べつつ、いつものように昔話の雑談を30分ほど。


 その足で実家に向かい、壁の剥離部分のコーキング処理をする。春の屋根補修の際にやるつもりでいたが、あれこれ忙しくてつい遅れた。途中でコーキング剤が切れ、玄関周りの一部がやれなかったが、傷みのひどい部分は終わった。
 その後、近くの姉の家にも立ち寄る。オリジナルCDが欲しいとの連絡を以前に受けていた。兄弟なので無料…、ということではなく、ちゃんとお金は払ってくれた。
 ついでに来年の父の七回忌の打合せをする。時期や場所、費用など、だいたいの方向性は決まった。
 帰路、自宅近くの小学校に回って、選挙の投票を済ませる。広い駐車場が満杯で、花壇の脇に見つけたわずかなスペースに車を停める。さぞかし投票所も混雑…、と思いきや、なぜか閑散としている。投票率を上げるべく、万全の配慮をするのが選管の役目のはずが、なぜ駐車場の空きがないのか?いったい誰が車を停めているのか?
 およその推測はつくが、やりきれない思いである。

 家に戻ったのが17時過ぎ。ムチ打って弾き語りの定例練習はちゃんとやった。さすがに疲れたが、午前中に家庭菜園から採っておいた初物のラズベリーを夕食後にヨーグルトに載せて食べたら、あまりの美味さに疲れも吹き飛んだ。
「初物を食べると寿命が75日延びる」とはよくぞ言った。

2013年7月19日金曜日

続・チカチカ実験ライブ

 実験的チカチカパフォーマンスの平日版に参加した。前回の休日版で得た最適値を元に、北大通広場西端の通りに正対する位置にステージ設定。
 PAのボリュームを前回より20%ほど下げ、さらにはスピーカーの向きをやや南側にひねって、カフェ入口から音を遠ざけた。


 今回は事務局の立ち会いはなく、前回は明るかった広場照明も、従来通りの節電モードに。かなりの暗さだが、1個だけ点灯していたダウンライトの斜め下にマイクを置く。
 設営に手間取って、14時18分から歌い始める。通りを隔てた東広場で航空会社のイベントが賑やかに行われているなか、55分で以下の17曲を一気に歌った。(◎はオリジナル、※は初披露)

「恋のバカンス」「恋はやさし野辺の花よ」「真赤な太陽」「人形の家」「誰も知らない夜◎」「河は呼んでいる」「ランナウェイ」「アメイジング・グレイス※」「青春時代」
「ひこうき雲※」「青葉城恋唄」「さくらんぼの実る頃」「ハナミズキ」「北の旅人」「夢の旅路◎」「思い出のグリーングラス」「時代」
 夏系の曲を中心にした夏モード構成だが、当初は9曲目の「青春時代」までを第1ステージとし、休憩をはさむつもりでいた。ところが、歌えど歌えどまるで手応えがない。
 真向かいの東広場では、ひょうきんな着ぐるみキャラ2体が大変な人気。人の流れがそちらに大きく傾き、西広場は閑散としている状況だった。カフェに出入りする客も休日よりは少なめで、歌に関心を示す人はほとんどいない。

 業を煮やし、予定にはなかった「アメイジング・グレイス」をアカペラ気味に歌ってみると、急に人が集まり始めた。数日前に覚えたばかりで、歌いこみがやや不足していたが、人は増え続ける。通常の4番だけ終わるのが惜しく、3番を繰り返し歌ってしまう。
 これに勇気を得て、第2ステージの予定分を続けて歌ったが、結果として集客のピークは「アメイジング・グレイス」だった。


 手応えのないまま、いったん休憩に入る。この日もポカリを持参し、随時補給しながら歌い進んだので、余力は充分にあった。衣装での暑さ対策も万全。
 5分ほど休憩し、15時18分から第2ステージ開始。およそ25分で以下の8曲を歌った。

「恋する夏の日」「女ひとり」「グッドナイト・ベイビー」「ダンシング・オールナイト」「抱きしめて◎」「パープルタウン※」「夢一夜」「風来坊」

 第1ステージの手応えのなさから、この日はCDの売上げは全く期待できないことを覚悟していたが、「グッドナイト・ベイビー」から少しずつ立ち止まる人が増え始めた。
 かなり高齢の女性が声をかけてくれ、「お兄さん、いい声してる」と、CDを2枚も買ってくださった。1枚は紙ジャケ廉価版で、曲は重複しているのだが、「お兄さんの写真が入っているから、こっちも欲しい」とのこと。
 お礼にオリジナルの「抱きしめて」を歌うと、近くにいた別の方が「いまの歌、カラオケに入ってます?」と問う。この種の質問は過去にも数回あったが、すべて同じ曲「抱きしめて」なのだった。
 つまりは、「カラオケに入っていそうな曲」という評価になるが、たぶん素直に喜んでいいのだろう。
 結局この方もCDを買ってくれた。前回とはまるで逆の「あとになるほど盛況」という反応だったが、辺りを見回すと東広場のイベントが一段落し、着ぐるみキャラも姿を消して、静けさが戻っていたのだった。なるほど。
 一人立ち止まると続けてもう一人が立ち止まるというのが路上系ライブの不思議。ラストの「風来坊」では、けっこうな数の人々が耳を傾けてくれた。

 実験としての評価は難しいが、照明はあまり集客に関係しないのは明らか。この日はカフェ客との関連性も、あまりないように思えた。歌っている最中にお店の方が何度が外に出てきたが、特にクレームはない。私のステージに限れば、共存は充分に可能である。
 集客に大きく影響するのは、おそらく立ち位置。通りからかなり後退した位置で歌わざるをえないので、関心をもって目をむけてくれても、そこから数歩近寄ってくる人が少ない。
 対面の東広場でのイベントも集客に影響するのは明らかだが、これはお互いさまなので、何とかタイミングをずらして演るしかない。

 担当者からの依頼で参加した実験的パフォーマンス、普段とは異なる緊張感もあったが、それなりに楽しめた。個人的には暑さ対策をいくつか試み、ほぼクリアできたのが大きい。別の場でもそのまま応用が効きそうだ。

2013年7月17日水曜日

やっつけカルボナーラ

 朝食と昼食は妻に頼らず、基本的に自分で作るので、飽きない日々の工夫が肝心である。さすがに朝食はトースト1枚にカフェオレのワンパターンで、暑いときにはカフェオレを冷たい牛乳のままで飲む程度。

 悩ましいのが昼食で、春秋冬は暖かいものがいろいろあって、バリエーションには困らない。問題は暑いこの時期だ。
 即席ラーメン、冷凍ウドンが使えず、ずっと食べていたマルちゃんの焼きそばもさすがに飽きた。そうなると、ソウメン、冷麦、ザルそばくらいしかパターンがなく、栄養面でもいまいち。
 炒飯やスパゲティは暑い時期でもまずまず食えるが、冷飯や野菜等の材料がない場合がある。冷蔵庫にある材料で、いくつかパターンを増やす必要があった。


 ふと思い立って、スパゲティ・カルボナーラを作ってみる気になった。レシピを調べたら、ベーコンとチーズ、そして卵があればよい。ベーコンは常備してないが、ハムはたいていあるので、代用が効きそうだ。さっそく作ってみた。
 スパゲティ90g、卵1個、ハム2枚、チーズ2切れが材料。チーズは粉チーズを使うのが本当らしいが、たいして変わりはない。

1)スパゲティを7~8分ゆでる。
2)ハムを適当に切り、サラダ油と塩コショウで炒める。ゆで汁大さじ1を加える。
3)スパゲティを投入。続けて細かく切ったチーズを投入。よく炒める。
4)別容器で溶いた卵を最後に加え、よく混ぜる。

 野菜がなく、青みが欲しかったので、家庭菜園の大葉1枚を千切りにして載せた。
 卵を加えたあとの混ぜ方がやや甘く、少し固まってしまったが、まあ美味しく食べられた。あり合わせの材料で作れる昼食(夕食でもよいが)の一品。覚えました。

2013年7月16日火曜日

タチアオイ咲いた

 庭のタチアオイの花が咲いた。正確に書けば、咲いたのは我が家の庭でなく、南側の隣地である。割に好きな花なので、土手沿いに咲いている花の種を採取し、庭に蒔いたのが、越してきた直後の13年前。
 もともと丈夫な花で、丈夫過ぎて嫌う人もいるほど。一般家庭で栽培している人は、ごく稀である。芽は簡単に出てすぐに花を咲かせたが、一年草なので、翌年はこぼれた種から芽が出る。確かに我が家の敷地内に蒔いたはずが、いつの間にか境界を超えた隣地で花を咲かせるようになった。


 隣地の地主とは今春に初めて挨拶をかわしたが、境界部の草刈りを長年やっていることを伝えると、花や野菜の栽培はどうぞ自由にやってください、とのお許しを得ている。野菜を育てる気はないが、タチアオイなら問題ないだろう。
 北側には「邪気を払う」という風水の縁起をかつぎ、白のタチアオイを植えてあったが、こちらはいつの間にか姿を消した。周辺で雑草除去の農薬を散布したとの情報があり、それが関係しているかもしれない。

 タチアオイには赤、ピンク、白、濃赤のほか、白と赤の混じった変形も存在する。野菜の栽培がこのところうまくいかないので、丈夫な花の育成に切り替えようかとも思う。
 一昨日のチカチカパフォーマンス第1ステージで、20代とおぼしき若い方が複数、かなり長時間立ち止まって聴いてくださった。
 特に若い人むけの構成ではなかったが、中盤で歌ったオリジナル「誰も知らない夜」の反応がよく、急きょ予定を変えて、ページを繰って目についたオリジナル「サクラ咲く」を続けて歌った。
 その若い方には終了後に、「《誰も知らない夜》がよかった。CDに入っているなら買います」と言われた。当初はそう大きな反響のなかったこの曲、バラード系の歌唱法に変更してから、評価が急変した感じだ。

 あとで思ったが、「サクラ咲く」は中高年をターゲットにした曲で、ここは若い方を意識して作った「夢の旅路」を歌うべきだったと反省。「夢の旅路」は前々回のチカチカパフォーマンスで、やはり若い方に評判がよかった。
 いろいろなパターンのオリジナルがあるが、響き方は聴き手によって実にさまざま。時間制約があるなかでの咄嗟の選択は、なかなか難しいものがある。

2013年7月14日日曜日

チカチカ実験ライブ

 事務局からの依頼で、北大通広場での実験的チカチカパフォーマンスに参加した。パフォーマンスの割当て会場は現段階で3ヶ所あるが、南端の北大通広場は改修工事のため、しばらくパフォーマーに開放されていなかった。

 最近になって工事が終わったが、北側に新たにカフェが完成して、使えるスペースが狭くなった。広場からカフェへの出入り口もあり、これまでとは人の流れが明らかに変わる。
 新たな環境下で、果たして従来通りのパフォーマンスが可能なのかどうか?事前に試験運用してみて、問題点を探るのが今回のパフォーマンスの目的である。


 事務局の方が検証のため、立ち会ってくれることになる。現地であれこれ打合せがあり、やや遅れて14時40分から歌い始めた。
 第1ステージは以前より歌う位置を5メートルほど西に下げ、マルチビジョン前に陣取った。カフエ出入口を左に見ながら、同時に通りにも正対する位置である。
 あくまで実験パフォーマンスなので長くは歌えない。30分を目安に、以下の9曲を歌った。(◎はオリジナル)

「恋のバカンス」「時計台の鐘」「真赤な太陽」「誰も知らない夜◎」「サクラ咲く◎」「ハナミズキ」「河は呼んでいる」「ゴンドラの唄」「青春時代」
 休日の集客はいまひとつなのがいつものパターンだが、この日は1曲目から人の集まりがよかった。カフェに出入りする人々が目をむけてくれ、並びながら拍手をくれる方もいたほど。
 強い曲調の歌もカフェ内でチェックした結果、音はあまり気にならないとの判断である。途中でカフェの店長らしき方が確認に現れたが、特にクレームもなく終了。あまり期待してなかったがCDも売れ、むしろ普段の休日よりも手応えはよいほどだった。


 15分ほど休んで、15時25分から第2ステージ開始。担当の方からの要望で、カフェを背にし、大通り側に向かって斜め45度の方向で歌うことになった。
 立ち位置は大差ないが、通りに正対せず、縦長の柱が邪魔して見通しは悪い。歌は聴き手から歌い手の姿が見えていることが大事で、苦戦が予想されたが、あくまで実験的パフォーマンスである。
 およそ25分で以下の7曲を歌った。

「時の過ぎゆくままに」「バス・ストップ」「あなたならどうする」「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」「グッド・バイ・マイ・ラブ」「ジョニィへの伝言」「抱きしめて◎」
 予感は的中し、第1ステージとは打って変わって集客は激減した。カフェに背を向けたスタイルのせいか、出入りする人々も関心を示さない。これといった手応えのないまま終了。
「最初と比べてどんな印象でしたか?」と担当の方に問われたので、「聴き手に届かない感じです」と、率直に答えた。
 聴き手が減ったのは位置や方向以外に、単に時間の経過によるものかもしれない。この種の変化は普段のライブでもよくある。


 5分ほど休んで、すぐに第3ステージを始めることになった。立ち位置をワンブロック南にずらし、カフェ出入口から完全に姿を消すと同時に、PAも柱の陰に隠した。歌う方向は通りに正対させた。
 外気温は28度ほどだったが、熱のこもるハンチングはやめて頭にはバンダナ、首にはシャツ襟の外側にタイを巻きつけ、水代わりにポカリを準備して対策は万全。おかげで疲れを感じることはなかった。
 およそ25分で以下の8曲を歌う。

「季節の中で」「恋の季節」「空港」「ブルーライト・ヨコハマ」「どうにもとまらない」「男と女のお話」「ランナウェイ(初披露)」「風来坊」

 第1と第2の折衷案のようなスタイルで、通りに正対してはいるが、左右に壁と縦長の柱があり、視野は狭い。それでも第2ステージよりは立ち止まる人が増えた。しかし、近寄って案内状をとったり、CDを手にするまでには至らない。
 そのまま16時20分に今日の予定を終えた。担当の方によると、両側に壁と柱があるせいか音の反響が最も大きく、好ましくないとの判断だった。
(カフエの営業面に支障があるか否かが、今回の大きな判断材料)
 時間の要素を無視すれば、第1ステージの立ち位置と方向が、見通しがよくて通りを往く人々の目にとまりやすいことは明らかだった。
 いちおうの結果は出たが、今回はあくまで休日モードでの実証試験である。これが平日だとどうなるのか、次回はその平日モードでの検証を試みる。今日の結果から、第1ステージのポジションを採用。PAのボリュームをやや絞ってやることになった。

2013年7月13日土曜日

百合が原青空コンサート

 近隣の大規模公園で実施された「百合が原・青空コンサート」に出演した。依頼は東日本大震災被災地支援系の市民団体「ふるさとを歌う会in札幌」経由でやってきた。たまたま場所が自宅から徒歩20分、四季折々散策に訪れる地なので、一も二もなくお受けした。

 実はこの公園ではちょうど4年前に「百合が原 "森の七つの椅子"」と題したインスタレーション型企画ライブを仕掛けている。さらには、5月末に実施された今年最初の青空コンサートも見届けている。徒歩圏ということもあるが、なにかと縁があるのだ。


 数日前までは雨の予報だったが、抜けるような青空が広がって絶好の日和。13時ちょうどに公園に到着。駐車場から機材を積んだカートを引き、会場となる北東の東屋へと向かう。
 予定では東屋を背にし、芝生を客席とみなして歌うことになっていたが、近づくとステージは東屋裏の林間に設営されていた。30度に迫る暑さということで、急きょステージと客席を変更したのだという。

 さらには、打合せにはなかった立派なPAも準備されている。近隣のモエレ沼公園の設備が、前日ぎりぎりになって借りられたらしい。「PAなし、電源なし」の条件は事前に知らされていて、どうにか発電機だけは用意していただいたが、PAは各自が準備することになっていた。
 ともあれ、嬉しい誤算だった。挨拶もそこそこに、マイクスタンドと電子譜面台をセット。ギターのライン入力もOKで、15分ほどでリハーサルを終える。


 13時20分くらいに岩見沢からキーボード演奏の高柳佳代子さん、由仁から鼻笛&ノコギリ演奏の互久楽さんが到着。モニターやマイク本数の件でちょっと手間取ったが、開始10分前には全ての準備を終えた。
 14時ちょうどにコンサート開始。音出しの段階から公園のあちこちから人々が集まってきて、開始時にはすでに100名を超えていた。駐車場からの順路要所に「青空コンサート14~15時」と、矢印つきの立看板が予め準備され、好天や大型PAの準備と相まって、人が集まりやすい条件が整っていた。
 高柳さんの演奏が予定より少し早く、14分で終わる。素早く転換し、予定より8分も早い14時15分から歌い始めた。


「老若男女むけの癒し系の曲を」と、事前に公園側から要請があり、告知ポスターにも「優しいひと時をお届けします」と明確に記されていた。その路線に沿いつつ、さらには「百合が原公園」「青空」を意識して、花やアウトドア系の曲を中心に構成。以下の6曲を歌った。

「おおブレネリ」「さんぽ(となりのトトロ)」「バラが咲いた」「草原の輝き」「エーデルワイス」「チキ・チキ・バン・バン」
 1曲目はMCなしの無伴奏で「ヤッホ~」から入るという趣向。いわば歌による挨拶だ。終了後に自己紹介し、2曲目以降はMCで公園と曲とのからみを説明しつつ、歌い進んだ。歌と共に聴き手はさらに数を増し、東屋内は座りきれずに立ち見状態となる。
 あふれた人々は左右の芝生に座って聴いていたが、自生する大木が程よい木陰を作ってくれて、時折吹く風が心地よい。
 あとで知らされたが、公園側の正式カウントによると、聴き手は200人を超えていたという。
(集客数を市に報告するため、イベント毎に正確に数えると思われる)


 人数の割に聴き手は押しなべておとなしく、歌っていて不安になるほどだった。モニタースピーカーがなく、自分の声が確認できないことも不安に拍車をかけた。
 ただ、歌い終わると1曲毎に静かだが確かな拍手をいただけたので、届いてたのは間違いない。この地区では介護施設や地区センターなどでも数多く歌っているが、どの会場でも似たような反応である。それが地域の特徴なのだろう。
 予定ぴたりの17分で終了。14時35分からラストの互久楽さんの演奏となる。ところがあまりに進行がスムーズに進みすぎ、14時55分に予定分が終わってしまった。
 早めに終わるのかと思いきや、互久楽さん咄嗟の判断で、予定にない2曲を追加演奏。ぴったり15時に終了した。さすがである。

 予想外の暑さで急きょ場所を移動し、「青空コンサート」というよりも「木漏れ日コンサート」といった感じになったが、途中で立ち去る市民がほとんどいなかったのが、演奏者としては何より嬉しい。
 私自身の喉は決して万全とは言えない状態だったが、公園側にも大変喜んでいただいた。少人数の演奏でも条件さえ整えば、それなりに演れるという自信になった。


写真は百合が原公園公式サイトより

2013年7月11日木曜日

伝わる歌

 夕方の定例練習中に電話が鳴り、よく聞き取れなかったが、どうやらライブの依頼らしい。もう一度お名前を、と問うと、年に一度はライブを頼まれる遠方の有料老人ホームからだった。

 最初はネット経由で依頼があり、その時に職員として施設にいた方が別の施設に移動し、連絡先を探し当てて依頼されたのが始まりで、それが2007年のこと。以来毎年一回のペースで、細いが確かな信頼関係が続いている。


 実はそのときの担当者は一昨年、別の施設に移動してしまった。全国規模で展開する施設の場合、移動はよくある。これで縁が切れるかと思いきや、別の職員の方が跡を継ぐ形で、依頼は途切れずに続いている。
 31年前に事業を始めた際、「自分のやった仕事は、モノ言わぬ営業マン」という言葉を信じ、ひたすら努力を重ねて仕事(建築デザイン系)を納めてきた。一家離散することもなく、細々と事業を続けてこられたのは、そんな姿勢を見失わずにいたからだと信じている。
 どうやら同じことが、趣味道楽の世界に過ぎない弾き語り活動においても、そのまま当てはまるようだ。

確かな歌は、心から心へと伝わってゆく

2013年7月10日水曜日

自分への土産

 先週末の箱根家族旅行で、他のメンバーは休暇をもらった会社の同僚やら、仕事で参加できなかった家族への土産をそれぞれに買っていたが、そんな相手のいない私が唯一買った土産は、彫刻の森美術館で見つけた399円の陶製キーホルダーもどき。
 単体では鍵をつけられず、そのままでは携帯ストラップにもならないので、何かのリングに引っ掛けて使うしかない。あくまで「もどき」なのだった。

 デザインは一見トトロのようにも見えるが、微妙に違う。そもそもトトロのデザインだと相当の著作権料が発生し、とても399円では売れない。
 推測だが、ピカソ館にあったさまざまな形状の陶器のイメージをヒントに作っているものと思われる。


 カエルに近い雰囲気の品もあったが、あえて別系統の品を選択。実はずっと使っているキーホルダー・マスコットのうち、NHKの「ドーモ君」の傷みが激しい。いよいよ換え時で、今回の「トトロもどき」はその代替品、つまりは自分への土産である。

「ドーモ君」は2007年1月にNHK札幌放送局の取材を受けた際、記念品のひとつとしていただいたもの。その後ずっと酷使し続けているのだから、顔が擦り切れてしまっても無理はない。
 当初は「うさ爺」のマスコットもあったが、こちらも数年前に顔がのっぺら坊となって外してしまった。代りにカエルのケロちゃんを加工して取りつけたが、こちらも樹脂製なので、顔が擦り切れつつある。
 この種のマスコットで長持ちするのは、断然ガラス製か陶器製である。樹脂製に比べて高いが、それだけの価値はある。携帯ストラップにはすでにガラス製のカエルがつけてあるが、1年近く経っても全く傷みはない。

 ちなみに、キーホルダー本体についている丸い皮は、長男からもらった高級焼酎のビンについていたもの。普通は捨てるものだが、いい手触りだったので、強引にキーホルダーに作り直した。

2013年7月9日火曜日

弾き語り経歴書

「認知症を考える」という地域の勉強会から知人経由で連絡があり、来月の会合のあとに余興として歌っていただけないか、との依頼。平日の午前だが、スケジュールは問題なく、会の主旨にも賛同できたのでお受けした。
 今日になって再度の連絡があり、担当の方はずっと以前から私のことを知っていたという。介護施設や地域センターなど、さまざまな場で地道に活動を続けているので、知らず知らず輪は広がっている。

 打合せのなかで、プログラムを作るので簡単な経歴書をいただけないか、との話が出た。最近になってこの種の要望が非常に多く、単なるボランティアとしての活動でも、それは例外ではない。
 同様に要望の多いステージ写真も含め、最近はいつでも応じられるよう、すべてひな形を準備している。ボランティアも完全に質の時代に突入した感で、「ただ歌って場をまとめればよい」という時期は、とうに終わっている。


 私の場合、住所氏名年齢職業の基礎データ記載から始まり、次には「20代前半から弾き語り活動を始め、年間50回前後のステージをこなす」と、まず記す。多ければいいというものではないが、どのような場であれ、週に1回平均のライブを切れ目なくこなしているという事実は、相手を感心納得させるに充分である。

 次に活動を本格再開した2004年からの主たるライブ実績を、年1~2回ほどのペースで列記。ライブの場は公的なものが基本で、「すすきの祭り」「さっぽろ雪まつり」など、知名度が大きければ大きいほどよろしい。
(小規模でも優れた場は多数あるが、経歴書でふれてもあまり意味はない)
 チカチカパフォーマンスなどの公的ライセンスの記入も必須。テレビやラジオの出演実績なども、あれば忘れずに記す。どちらも歌い手の実力とは必ずしも連動しないが、あくまで無名の歌い手であることを悟るべし。悲しいが、社会が認めるのは、この種の第三者的評価による実績なのである。

 最近は「2012年、11曲入オリジナルCDをリリース」も付記するようになった。これまたCDを出したから急に実力が増すわけでもないが、これだけで驚く相手も確かにいることを忘れてはならない。
 私には無縁の世界だが、何らかの音楽系コンテスト入賞歴があれば、これに優る活動実績はない。
 ポイントは客観的事実を具体的に記すこと。よく見かける「多数のステージ」「好評を博す」「CD注文が殺到」などは、曖昧で主観的表現。自分を実体より大きく見せようとする意図と受け取られかねない。
「世間の求める評価をくみ取り、上手に取り入れる」これが経歴書を書くコツといえばコツで、この種の材料がほとんどない場合、歌える場は自ずと限られてくるものと考えたほうがよい。