2013年7月7日日曜日

箱根家族会~前編

 週末を利用して、箱根に家族旅行に行ってきた。「家族旅行」といっても、いつもの妻と二人きり、あるいは子供の誰かと現地で合流、という形式ではなく、北から南まで全国に散らばっている子供たちと親とが一堂に会し、時と場所とを共有するという趣向。
 そもそもの発端が、昨春に長男が九州で結婚式を挙げた際、式前日に息子が設けてくれた焼肉屋での家族宴会が思いのほか楽しく、その場で私が「こんな家族の集いを、冠婚葬祭とは全く別にやってみないか?」と提案したのがきっかけである。
 とはいえ、メンバー全員が別々の仕事を持っていて、しかも住む場所がバラバラ。集合場所をどこにするか、実施期日はいつか、宿や切符の手配はどうするか等など、ちょっとした社内旅行を凌ぐ煩雑な調整が必要だった。
 住んでいる場所は4地区に散らばっているので、今年の開催場所は九州以外のどこか。親の住む札幌はこのところ子供たちがそれぞれに訪れているので外し、残る2地区のどちらか、ということで具体的な検討を始めたのが、今年3月のことだった。


 紆余曲折のすえ、今年は箱根の老舗旅館に宿泊する旅行形式とすることが決まった。時には札幌の我が家に全員が泊まるイベント形式もあり得るので、ネーミングは「家族旅行」でなく、あくまで「家族会」である。
 現地に最も近く、箱根にしばしば出かけて地理に明るい長女が今回の幹事役。発案者であり、仕事が開店休業状態で最も暇な私が細かい調整役に回った。
 当日の16時に箱根湯本駅に全員集合。多くのメンバーは新宿発の小田急ロマンスカーを利用したので、車中でビールなど飲みつつ歓談。到着前から気分はすでに高揚しつつあった。

 宿泊場所は南風荘。ネット検索で長女がいくつか見繕い、候補の中からメンバーの意見を集約して決めた。深い森と渓谷に周囲を囲まれ、部屋からの展望は抜群である。
 部屋も廊下も清掃が行き届き、若い従業員は対応が俊敏で的確、好感を持った。食事前に入った風呂も清潔で湯量が多く、ヒノキの露天風呂を覆う梁と柱、周囲の木々の緑とのバランスは見事だった。


 19時15分から夕食。割増料金となる部屋食はやめ、大食堂を選択したが、指定されたテーブルが中央入口付近で、やや落ち着きに欠けたのが残念だった。
 ただ、ネットでのユーザー評価通り、食事は非常に美味しかった。「おだわら御膳」というコースを選択したが、しゃぶしゃぶやステーキ、寿司のコースより変化に富んでいて正解だった。
 写真では2つしか写ってないが、前菜の他に天プラやお吸い物、デザートまで登場した。海鮮丼のご飯が私には多すぎ、食べきれなかったのが残念。


 21時に部屋に戻ったが、たいして飲んでいないビールにかなり酔ってしまい、ちょっと布団に横になったら、そのまま眠ってしまった。仕事で疲れていたのか、他のメンバーも似たような状態だったらしい。
 旅館内にはカラオケやバーらしきものもあったが、誰も行く気配なし。家族旅行なので、夕食と歓談だけで充分満足できた。
 翌朝、6時過ぎに目覚めたら、部屋には誰もいない。(ちなみに、部屋は6畳の和室にツインベットの洋室付き。早期ネット予約の相部屋なので、飲み物別で一人1万円という格安価格である)
 気配はあったが、三々五々と朝風呂に行ってしまったようだ。留守役として誰かが戻るのを待っていたら、6時半になって妻が戻る。タッチして昨夜とは別の大浴場に向かった。
(大浴場は2つあり、男湯女湯が交互に入れ替わるシステム)
 前夜とは全くデザインの異なる露天風呂を堪能。洗い場の片隅にアジサイが美しく咲いていた。


 7時半に全員が食堂に集合し、バイキング形式の朝食をいただく。和食と洋食のメニューが自由に選べ、これまた過去に記憶がないほどの美味しさだった。好物の珈琲も本格的な味で、ついお代わりしてしまう。
 8時半にチェックアウト。両日とも雨の予報で、折畳み傘を準備していたが、降る様子はない。渓流沿いにある長い坂道を歓談しながらゆっくり下り、1号線沿いにあるレンタカーショップへと向かった。
(後編に続く)