2013年7月4日木曜日

ユーテリティシンガー

 自分はユーテリティシンガーだな、とつくづく思う。スポーツの団体球技で、どのポジションでもこなせる「ユーテリティプレーヤー」という存在があるが、その歌い手版である。

 直訳すると「役立つ」「有益」ということらしく、実は私の本業である住宅設計にも「ユーテリティルーム」(あるいは単に「ユーテリティ」)という部屋が存在する。
 住宅の場合は洗濯機や乾燥機を置き、アイロンをかけたり、時には洗面脱衣室をかねたりもする。要は「いろんな家事雑事をやる部屋」といった意味になる。


 歌い手の場合、「多種多様な場の求めに応じ、自在に対応可能」というのが私流の解釈。介護施設系、ストリート系、地域イベント系、ライブハウス・オープンマイク系、そして自主企画オリジナル系と、それぞれ求められるものが違うが、それに柔軟に対応できるか否か?が基準となる。
 そのためには、まずジャンルにとらわれない幅広いレパートリーと、一定レベル以上の基本的な歌唱力が欠かせない。「どこでも似たような歌」では、歌う場は限られてくるだろう。
「何でも歌える」「どこでも歌える」ということは、別の見方をすれば「これといった特徴がない」ということにつながりかねない。私の場合、一本芯を通すとするなら、「叙情的であること」これにつきる。
 昭和歌謡でも唱歌でも、演歌でもビートルズでも、すべてこの「叙情的」という自らの刀で切ってやれば、自然に自分の特質が表れてくるように思っている。なので、自分の名刺や案内状、チカチカパフォーマンスの表示板にも全て「叙情歌弾き語り」と入れている。