求められれば、率直に意見を言う。ではそうしましょうかと、歌いながら少しずつ形が変わってゆく。よりよいものを作り上げようとする強い意思と謙虚な姿勢をそこに感じた。非常に心地よく、貴重な体験である。
結果として一介のアマチュアがコラボさせていただくことになったのは、なぜか自然の流れのように感じた。
昨夜はまるで自分の自主企画ライブを終えた当夜のように、頭がハイな状態に陥り、明け方までよく寝つけなかった。たまにはこんな日も悪くない。
午後から昨日暫定的に決まった6曲の譜面を入力し直す。4曲はストックがあるが、キーが全く異なるので、Mさん専用に作り直した。「森へ行きましょう」と「エーデルワイス」はいつものようにネットから各種情報を得る。
同時に、手帳にメモしてあった曲のテンポや伴奏に関する留意点も記入。「おおブレネリ」ではサビに移る直前に極端にテンポを落とし、さらにサビの冒頭部を無伴奏とすることを要求された。
なぜそんなことをするのか、自分で歌ってみると分かる。ボーカルの魅力を際立たせようとすると、自然にそうなる。伴奏は単なる脇役、引立て役に過ぎない。
この手法は「故郷」でも同じだった。一小節ごとにテンポが波のように揺れながら変わる。伴奏者は呼吸だけでそれに合わせる。シャンソンでしばしば用いる手法だが、Mさん自身はシャンソンを歌った経験がないそうだ。
ともかくも伴奏は合わせることができた。数年前からシャンソンを歌い始めたことが思わぬ場面で役だった。