午後から少し離れた地区センターでカンツォーネとクラシックのミニコンサートがあり、このご時世に無料。行くかどうか迷って、とりあえず玄関前の除雪をやったら案外簡単に終わり、急に行く気になった。
迷った分出発が遅れ、到着は開演時間ジャストの14時。すでに館長の挨拶が始まっていたが、運良く空き席を発見する。
会場は昨年12月にフォーク歌手の及川恒平さんがXmasコンサートをやった同じ場所である。そのときにもらったパンフレットでこの日のコンサートを知った。マニアックな内容なので客は少なめか?と想像していたが、入ってみると荒天の悪条件にも関わらず、300席がほぼ埋まっていた。
館長の挨拶によると、6年前に地域住民を対象に実施した「地域センターでどんなイベントをやって欲しいか?」のアンケート調査で、80%という突出した数値だったのが「コンサート」。
さらにそのうちの60%がクラシック系のコンサートを希望していたそうで、その2年後からそれまであまりやってなかったコンサートを定期開催することにし、今年はクラシック系を中心に8回のコンサートをやる予定だという。
地域住民の声とはいえ、会場を見回すと圧倒的に多数を占めるのは50代以上の中高年。そんな人たちの実に50%近くがクラシック系の音楽を気軽に聴ける場を求めていることに驚く。
実は数日前に実施したストリートライブの内容も、こうした嗜好に限りなく近い傾向のものだった。そして熱心に聴いてくれた人たちは同じように中高年が圧倒的多数。今日の話とピタリ一致する。
人によって音楽の嗜好もさまざまではあるが、クラシック系の音楽が発信側にとっても大きな魅力であることは明白だ。
コンサートは5人の若き地元音大卒の女性たちによるもので、前半がクラシック、後半がカンツォーネ中心の内容。卓越した演奏技術で聴衆を魅了した。個人的には前半の構成が特に好みで、曲目の選択など、非常に参考になった。
聴き手がクラシック系を望んでいるとはいえ、あまりにマニアックで耳になじまない選曲であれば支持されない。歌い手としては工夫が必要である。今回は「どこかで耳にしたことがある」という明確な基準があったように思う。
先日のチカチカパフォーマンスでは、後半にクラシック系のオリジナル、つまりはクラシックの名曲にオリジナルの歌詞をあてる、という手法の曲を何曲か歌ったが、これが予想外の支持を受けた。
つまりは平原綾香の「ジュピター」に代表される手法である。過去に同様の手法を私も試み、そのストックを今回使ったわけだが、まだまだやる余地は残っているなと今日のコンサートを聴いて感じた。
たまに顔を出す近所のO珈琲店や都心のカエルヤ珈琲店では、店内のBGMがクラシック曲で統一されていて、それが実に心地よくて落ち着く。時代はいまクラシックなのかもしれない。