目的は電池式のローランドMOBILE CUBEを同じスタンドに取付けてしまうこと。うまくいけばその都度セットしなおしているカメラ三脚は携行バックに入れたままでよくなり、スタジオ内もすっきり広々と片付くことになる。
すでに設置済みのCM-30に比べるとかなり軽いので、取付け方にはいろいろな手段が考えられた。
・同じ手法で木製の支持台を下側に作る。
・下側でなく、同じ高さで直角に横に取付ける。
・本体に付属のベルトで金具などに吊るす。
・ベルトを通すハンドル取付穴を利用する。
順に試したが、どれもいまひとつピンとこない。幸いだったのは、2本の支持棒とMOBILE CUBEの幅がほぼ同寸法だったこと。試行錯誤するうち、既存のハンドル取付穴を利用する手法が最もすっきり収まり、着脱も容易であることにたどり着く。
ハンドル取付穴の裏側のビスだけを取り外し、工具箱にある手持ちのビスから長めのものをねじ込んでみるとピタリはまる。本体背面よりビスの頭を少しだけ外側に持ち出し、支持棒に何らかの金具を取付けて差し込む方法を思いついた。
床下にしまってあるパーツ箱からあれこれ部品を見繕い、カーテンレールをつなぐ部品をハサミで2つに切り、穴を開けて止めてやればうまく機能することに思い当たった。
取付けの心臓部は上の写真の通り。金具の穴が木製支持棒より数ミリだけ手前に浮いているところがミソで、これによって差し込みと取り外しがスムーズにできるのだ。
完成まで相当苦心したが、ほぼイメージ通りに仕上がった。
この種のアイデアを煮詰める過程は非常に刺激的で楽しいもので、やっている人間にしか理解できない世界だろう。優れた工業製品が完成するまでの苦労話をテレビでよく放送しているが、基本的な思考過程はそれと何ら変わらない。
この種の「アイデアを形にする」作業を安く、しかも簡潔に進めるには、ちょっとした部品の数々が手元に数多くあることが肝心で、床下や工具箱の底にはさまざまな一見ガラクタ風の部品がひそかにしまってある。
どうしても見つからずにやむなくホームセンターに買いに走ることもたまにはあるが、たいていの場合はここから必要な部品が見つかる。私にとってはまさに宝の箱。