2011年1月5日水曜日

音楽の持つ力

 昨日、今日とNHK-BSで放映された「菩提樹」「続・菩提樹」の映画を続けて観た。あの「サウンド・オブ・ミュージック」で有名なトラップファミリーを題材にした元祖ドイツ版の映画である。
 以前に「菩提樹」だけは観ていたが、こちらは「サウンド・オブ・ミュージック」に近い内容。その続編がアメリカに亡命したファミリーの物語で、地震や国会中継などで2度も放映中止となり、ようやく念願叶って見届けた。

 次男役の少年が時折ソロで歌う声が実に美しく、聴いているだけで涙が自然に流れる。調べてみたが、俳優の名前は分からない。子役には違いないが、おそらく吹き替えではなく、本人が歌っていると思う。
 あのように歌だけで理屈抜きに聴き手の心を揺さぶるのが、いまの私の目指すべき道である。
(その後の調べで、「ミハエル・アンデ」という俳優であることを知る。やはり本人が歌っていた。現在66歳で、健在とのこと)
 2作を通して観て、「音楽には力がある」という普遍的事実を改めて感じる。

「菩提樹」でのラスト、入国を拒否される一家が、機転を効かせてプロモーターの前で「菩提樹」を朗々と歌い、拒んでいたプロモーターの男が一転して保証人を受け入れるシーン。
「続・菩提樹」の中盤、それまで固い宗教系の歌にこだわり、受け入れられずにいたファミリーが聴き手の嗜好に合わせ、咄嗟に「狩の歌」と「おおスザンナ」を軽快に歌い、ついに成功を手に入れるシーン。
 この2つのシーンには、歌に必要なものは何か?という答えが、明快に語られている。音楽活動をしている方には、ぜひとも観て欲しい映画だ。