その「とある方」の名は教えていただけなかったが、市内白石区在住とのことで、白石区では過去に介護施設やライブハウスなど、あちこちで歌わせていただいている。どこかのどなたかが推挙してくれたらしく、ありがたくて素直にうれしい。
車で軽く1時間はかかる遠方だったが、スケジュールは空いていたので、お受けした。ところがその後の打合せで、ある難しい条件が出された。いわく、
「演歌は歌わないでください」
「唱歌の類いでも、暗い旋律の曲は避けてください」
詳しくうかがうと、施設体系は有料老人ホームで、入居者は50名ほど。特に介護の必要がない方も多数いるとか。音楽の嗜好がいわゆる「ハイカラ」で、好むのは基本的に洋楽。これまで依頼したボランティア余興では、よくある演歌系の歌になると、席をぷいと立つ方が複数いたらしい。
私の母もいわゆる「ハイカラ嗜好」で、音楽の好みはクラシックやラテンを始めとする洋楽。幼い時期に美空ひばりや三橋美智也などの演歌は、聴くことも歌うことも禁じられた。
洋楽をこなす音楽ボランティアは極めて少ない。「あの人なら多分できる」と、どなたかが推薦してくれた理由は、どうやらこのあたりにもあったようだ。
音楽に限らず、人生はおしなべて趣味の問題なので、最近のライブでは我を抑え、努めて場の嗜好に合わせる。
場の求めに応じて演歌や民謡もそれなりにこなすが、最近私が個人的に好んで歌っているのは、シャンソンを始めとする洋楽である。いわゆる「願ったり叶ったり」の場ではないか。
その後細かい調整を重ね、シャンソンやクラシック系の曲を中心に構成することを約束した。ちなみに、唱歌の「荒城の月」「月の沙漠」は不可だが、「浜千鳥」ならばOKだとか。分かったような、分からないような…?
歌謡曲系でOKなのは、「恋のバカンス」「いい日旅立ち」「涙そうそう」あたり。ううむ、なるほど。
時間はあまりないが、どちらかといえばカフェでのソロライブをやるような気分で臨めそうな感じ。先日の「介護施設でフォーク」も驚いたが、今度は「介護施設でシャンソン」である。いい時代になった。