2014年4月7日月曜日

リクエストで交流

 4月最初、そして第6期初のチカチカパフォーマンスに参加。3週間ほどライブから遠ざかっている間に雪もほぼ解け、まだ風は冷たいが、気分はすでに春である。オーディション前後はチカホの割当て枠がどうしても少なくなる傾向にあり、満を持してのエントリーだった。

 今日のエントリーは2組のみで、それぞれが2つの広場に分かれた。私が選んだのは北4条広場。共演者がいないので少し遅めに家を出たが、会場でスタンバイを終えたのは、開始時間ちょうどの14時。
 新年度が始まったばかりで、しかも月曜。何かと忙しいのか、通りを往く人の足取りは一様に速い。何となく苦戦しそうな予感がしたが、ともかくも歌い始める。
 第1ステージでは「ジャンルを越えた叙情歌」を切り口に、およそ40分で以下の10曲を歌った。(※はオリジナル)

「カントリー・ロード」「花(滝廉太郎)」「荒城の月」「さくら(直太朗)」「僕の胸でおやすみ」「青葉城恋唄」「サクラ咲く※(リクエスト)」「雨ニモマケズ※」「惜恋歌※(初披露)」「花~すべての人の心に花を」
 人の集まりは早かったが、数は多くない。しかし、立ち止まった方は熱心に聴いてくれる。ライブの手応えとしては悪くない。
 オリジナルも含めて桜系の歌を4曲歌ったが、「サクラ咲く」は「CDの中のオリジナルを何か」という中年女性2人からのリクエスト。続けて「雨ニモマケズ」を歌い終えると、その女性は場を去った。

 ラスト2曲では誰もいなくなったが、初披露の「惜恋歌」では、かなり遠い柱の陰で中年男性がじっと耳を傾けてくれた。ストリートで歌ってみた感触は悪くないので、次回は別のシチュエーションで歌ってみたい。


 聴き手が少ない割に売上げはまずまずで、10分休憩したのち、14時50分から第2ステージ開始。16時までに切り上げたかったので、休憩なしの1時間5分で、以下の15曲を一気に歌う。構成は無難な昭和歌謡を選択した。

「桃色吐息」「空港」「ブルーライト・ヨコハマ」「花の首飾り」「男と女のお話」「木綿のハンカチーフ」「抱きしめて※」「天使のウインク」
《ここから大きく転換し、第3ステージのイメージで演歌を中心に歌う》
「釜山港へ帰れ」「夜霧よ今夜も有難う」「独り※(リクエスト)」「つぐない」「宗右衛門町ブルース」「黒い花びら」「ラブユー東京」
 第2ステージではいろいろな動きがあった。人の集まり具合は前半と似ていたが、時が進むに連れて、場の定着時間が短くなる傾向にあった。
 チカホは本来、単なる通路である。基本的に用事のある人が歩いているので、長時間留まって聴いてくれる人は稀。そんな条件下で、ふと立ち止まって耳を傾け、時にはCDまで買ってくれる行きずりの人を歌で探し当てる。そこに路上ライブの捨て難い魅力がある。

 3曲目あたりから8曲目の「天使のウインク」まで熱心に聴いてくれる中年男性がいたので、キリのいいところで声をかけた。
「足を止めていただいて、ありがとうございます。何か聴きたい曲があれば歌いますが…」
 聴き手からのリクエストは過去に多数あるが、自分から申し出たのは初。活動を初めて3年目に差し掛かり、特別枠認定も受けたので、これまでとは違う色を何か打ち出してみたいと、かねてから考えていた。
 その男性、用事があるのでもう行かねばならないが、とても良かった。「花の首飾り」は元祖タイガースとは異なる味で、特に印象に残った、と感想をくれた。最近は女性歌手の曲を好んで歌うなど、自分なりの味つけで歌うよう工夫しているので、こうした評価は大変うれしい。
「釜山港へ帰れ」から構成を大きく変え、演歌中心に歌い進めたが、それなりの反応があった。途中、40歳くらいの男性が熱心に聴き始め、案内状を手にとって食い入るように眺めている。曲の合間に、向こうから声をかけてきた。

「クロスロードライブに出てらしたんですか?実は私もバンドの一員ですが、出てました」と、信じがたい話。JRの出発時間が迫っているのですが、ぜひオリジナルを何か1曲だけ歌ってください、と請われた。
 いろんなジャンルがありますが、お好みは?と問うと、案内状を見ながら、シャンソン系のオリジナルがあればぜひに、と言う。クロスロードライブでも歌って、CDにも入っている「独り」を歌うと、大変喜んでくれた。

 このあと、「魔の時間帯」と呼ばれる16時が近づくにつれ、人の集まりはパタリと途絶えた。しかし、終わってみると売上げは今年3番目。25曲という曲数も、過去のベスト3に迫る記録である。リクエストを使った聴き手との積極的なコミュニケーションという新しい方向性も見いだせた、収穫の多いライブである。