「アラ、××さん、奥さんの名前が別の人になっちゃってるわよ」
彼は50代も半ば。そろそろ定年後の身の振り方を考えなくてはならない年齢だが、文面と直近の情報から察するに、どうやら前の奥さんと熟年離婚し、すぐまた再婚したらしい。
かなり長いつきあいなので、奥さんも子供も良く知っている。いったい彼に何があったのか?電話しようと思ったが、何だか怖くてできなかった。
以前に50歳を越えた知人が、30歳近く年の離れた若い女性と不倫のすえ、妻子と別れて再婚した例がある。賀状を読んですぐに連想したのが、そのこと。
真実は定かではないが、当事者がかなりシンドイ(考えようによっては、シアワセな?)人生を選択したことは間違いない。まあ、とうに壊れてしまっている夫婦関係にしがみついているより、すっぱり清算してそれぞれが新しい道を歩むってのも、悪くはないが。
年賀状がらみでもうひとつ思い出したが、先月上旬に届いた喪中ハガキに、実に不思議な内容のものがあった。
学生時代、同じ学寮と同じ学科で4年間を過ごした友人からのものだが、1枚のハガキに、二人分の喪中文面が並んでいる。ひとつは彼の母親で、ひとつが奥さんの母親。ここまではたまにありそうな偶然だが、何と亡くなった年齢が全く同じ91歳で、命日がわずか10日違い。
彼の実家は北海道で、奥さんの実家は名古屋近郊。さぞや慌ただしく、気ぜわしい思いをしたことだろうが、10日だけズレていたのが、不幸中の幸いといえるかも。それにしても、何とも不思議な巡り合わせではないか。
たかが賀状だが、いろいろな人生を垣間みることができる。やっぱりやめられない。