自宅で入念にリハをしたあと、機材一式を車に積み込んで17:30に出発。昨夜来の雨もウソのように晴れ上がり、会場となるモエレ沼公園の真上には、中秋の名月がぽっかりと浮かんでいる。
17:40にガラスのピラミッドに到着。受付を済ませ、設営は会場を借りている18:00からだろうと思っていたら、前の時間帯が空いていたので、早めにやってよいという。ありがたく17:45から設営開始。
会場となるアトリウム2がやや暗く、まずは照明スタンドを組立てる。下調査通りにトントン作業をすすめ、およそ15分で全セットを終えた。
18:00からマイクテストを開始。予想通り残響時間が異様に長く、リバーブなどの効果は一切使わないことを即断。早めに来た音楽に詳しい知人に客席に座ってもらい、マイク毎に各種数値やスピーカーの位置などを微調整する。
そうするうち、続々とお客様がやってきた。数年ぶりに会う方や、初めて聴きにくる方などもいて、マイクテストをしながら挨拶を繰り返す。
残響時間の長い問題は解決不可能なので、これを逆に活かすべく、メインボリュームを自宅よりも2割ほど落とすことにする。モニタスピーカーの方向は天井ではなく、歌い手正面に向きを変え、音量をかなり絞る。4曲ほど歌っておよそのOKが出た。
時計を見ると18:27あたり。しばしの間を置いて、予定通り18:30からライブは始まった。
第1部は私のソロで、オリジナルを中心に6曲を歌う。最初は立って歌ったので、モニタの位置が遠く、声のコントロールが難しい。「一人前座」のようなステージなので、音響効果を含めた場の空気をつかむことに専念した。
喉の調子はよく、ほぼ100%。調整がうまくいった。力を入れすぎないよう、ていねいにキモチを声に乗せるよう心がける。
18:55に第1部終了。しばしの休憩をおき、19:00から息子とのユニット「tiny-ZOO」で第2部開始。
第2部は17曲を休憩なしで歌ったが、聴き手が飽きないよう構成に腐心。中盤に女性ゲスト2人を迎え、さらには「施設訪問コーナー」で唱歌系の歌を4曲歌ってメリハリをつける。
日本各地から家族が全員集合したので、終盤には「家族紹介」のコーナーを設け、35年前に結婚式で妻と二人で歌ったオリジナル曲を家族全員で歌う。ここでコンサートは最高潮に達した。
途中で聴き手の数をざっと数えてみたら、階段席で35名ほど。通りすがりの方が周囲の回廊で結構聴いてくれていて、あわせておよそ45名ほどだった。予想をはるかに超える人数で、苦労が報われた気がした。
写真のように、ステージの真下から光があふれ、天からは自身の声の木霊がシャワーのように降り注いだ。まさに光と音のページェントで、特にアルペジオ系の曲では、自分の身体が一瞬宙に漂うような得難い体験をした。至福の時間だった。
予定通り、20:15に第2部終了。ラストの数曲でギター弦を押さえる左手の指がつってしまい、マッサージを繰り返しながら何とかやり終えた。リハやテストを含めると、一日で60曲近くを歌っている。もはや肉体の限界である。
アンコールのお気遣いをいただき、気力を振り絞って2曲を歌う。幸いに喉は絶好調をキープしていて、充分に余力がある。最後はギターはほどほどにし、ボーカル中心で歌い切った。
21時過ぎから自宅を会場に打ち上げをやる。身内が多数いたことを気遣ってか、友人関係は22時前にはみな帰路についた。
その後、家族で0時ころまで話の花が咲く。
「主役自らが企画構成し、弾き語る」という珍しい形式での還暦イベントだったが、家族友人など、多くの方々の励ましや支えで、人生のリスタートを最高の形でやり遂げることができた。
ありがとうございます。
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