以前にも同じゲタ箱の上に置いたポトスの鉢に、2度に渡ってアリが巣を作り、あまりにしつこいので、鉢そのものを処分したことがあった。こりないアリどもが、今度は壁の隙間に巣でも作ろうとしているのかもしれない。
しかし、眠いので作業はホウキで綿ぼこりを払うだけにし、起きてから本格的に処理しようとそのまま寝た。
起きてからまず、ゲタ箱の上に載せてある額縁や飾り物の瓶などを移動させた。巣はゲタ箱と壁の薄い隙間とニラんだので、ゲタ箱の移動は必須である。
水の入った小さな花瓶を移動させようと手にとったとき、問題が一挙に解決した。何ということか、花瓶にさした庭木の枝の途中(花瓶の中)に、大きな綿ぼこりの塊が出来ていて、そこに無数のアリが群がっている。巣は壁の隙間などではなく、こんな途方もない場所にこしらえてあった。綿ぼこりはその「建築材」だったということ。
すぐさま、花瓶ごと外に持ち出し、木の枝を抜き取って捨てるが、アリの群れはしつこく花瓶の内側にしがみつき、容易に離れようとしない。塊の中心には、どうやら女王アリがいる様子で、まるで落城間近の城にたてこもる将軍と、お取り巻きたちのようだった。
やむなく台所から洗剤を持ち出し、数滴垂らして放置。(台所洗剤はアリを一撃で殺す)しばらくして様子を見に行くと、アリは全滅していた。ヤレヤレ。
前回やられたときは、ポトスの鉢の土を丸ごと水苔に交換したが、すると今度は、鉢の底のくぼみと台の間に盛り上げるようにセッセと巣を作られ、気づいたときは卵まで産みつけていた。
おそらく今回も女王アリは産卵期を迎えていたと思われ、気づかずに放っておいたら、ダンゴ状に固めた綿ほこりの中に、しっかり卵を産みつけていたと思われる。
それにしてもフシギなのは、なぜに好き好んで家の中の、とんでもなく難しい場所に巣を作るのか?ということ。アリはやっぱり、外の土の中に巣を作るべきだろう。全く油断ならない。
床にこぼれ落ちた食材などのエサが豊富にあり、陽当たりがよい高気密高断熱の家は、アリにとっても余程住み心地がよいのか。そうでも考えないと、家の同じ場所に続けざまに3度も巣を作る理由が説明できない。
(ちなみに、アリは玄関ドアの微細な隙間から忍び込んでくる)
この推論が当たっているとすると、楽をしてよりよい生活にアリつこうとする欲望は、人間と全く同じであるということ。いわば、アリの堕落である。
シャッターチャンスはいくらでもあったが、あまりにおぞましい映像なので、写真は撮らずじまい。本当にアリがたくない話である。