2018年9月15日土曜日

第10回放送大学文化祭

 放送大学北海道学習センターの第10回文化祭ステージで歌った。知人の紹介で昨年初めて歌ったステージの評判がまずまずで、再度の依頼につながった。
(放送大学は文部科学省が設置した通信制の大学で、各種単位や学位の取得も可能。テレビやラジオ、インターネットなどで講義を受けられる)

 文化祭実行委員会は毎年変わるらしく、今年の責任者はK子さん。節目となる10回目ということで、昨年とは趣向を変えて歌詞カードを事前に配布し、聴き手も共に歌う歌声スタイルにしたいという。
 70年代に一世を風靡した歌声喫茶がブーム再燃とかで、このところこの種の依頼が多い。歌をじっくり聴いて欲しい自分のスタイルには合わない気がするが、要望があれば沿うようにしている。
 持ち時間は25分で、事前にFAXで細部を煮詰め、歌声ふうな展開に相応しい6曲を選ぶ。歌詞をA4サイズ3枚にまとめ、早めにK子さんに送った。
 直前になって記録的な大地震と大停電に見舞われたが、予定通りに実施したいとの確認がある。地震直後に4本のライブが予定されていたが、いずれも責任者の方から「ぜひ演って欲しい」との連絡があった。私のライブに限れば、地震による自粛の動きはない。

控室で待機中

 会場は昨年と同じ北大構内にある北海道学習センター。ステージ発表は最終日の13〜17時まで実施される。
 私の出番は16時30分からで、開始45分前に到着。進行が全体的に押していて、開始が遅れそうだという。転換時間のロスを少なくするべく、事前に機材をセットして準備する。数日前の介護施設敬老会と同じ動きだが、複数の演者が出演する場合、避けられない展開だった。
 直前の落語で進行がさらに遅れ、設営に入れたのは16時40分。すでに開始予定から10分遅れている。オニのように動いて、2分で設営完了。挨拶もそこそこに歌い始めた。
 およそ20分強で7曲を歌う。

「上を向いて歩こう」「バラが咲いた」「時の流れに身をまかせ」「エーデルワイス」「夜霧よ今夜も有難う」「青春時代」「見上げてごらん夜の星を(リクエスト)」


 終了予定は16時55分だったが、13分で歌い終えるのはとても無理。少なくとも歌詞カード配布の6曲は歌って欲しいとK子さんはいう。事務局にかけあって、多少の遅れは構わない、とも聞かされていた。

 聴き手は25名くらいで、昨年よりやや少なめ。7割以上が男性だった昨年と異なり、男女比はほぼ同数だった。
 1曲目から場の反応はまずまず。共に歌う声も耳に届いた。歌声ふうの展開は、この場に限ってはうまく運んでいたように思える。
 無駄なMCは省き、伴奏も極力省いたが、歌詞カードを配っているので、歌詞の省略だけはしなかった。
 正味18分で6曲を無事に歌いきり、時計はちょうど17時。ラストの「青春時代」で大いに盛り上がったので、これで終了と思いきや、進行の方が1曲だけでもリクエストに応じて欲しいという。

 実はプログラムの末尾にも「リクエストを2曲ほど予定」とあった。すかさず最前列の女性から「見上げてごらん夜の星を」のリクエストが出る。(どうやら予め準備していた感じ)
 この曲の出来がかなりよく、歌詞カードがないこともあって、場がしんと静まり返る。喉は決して本調子ではなかったが、結果として歌の内容が地震で沈みがちな人々の心境を励ますように働いたように思える。

 終了後、路上ライブで知り合い、この場へとつないでくれた受講生のR子さんが近寄ってきて、「菊地さんの今日の歌、泣けました」と声をかけてくれた。その目が赤く潤んでいる。歌を介して互いに通じ合うものが確かにあったのだ。