2018年9月12日水曜日

地震直後の敬老会

 ネット経由で依頼された隣市のケアハウス敬老会で歌った。初めて行く施設だが、車で15分の普段よく通る道沿いにあって大きな戸惑いはない。
 依頼はかなり前にあり、何度かのFAXのやり取りで詳細を煮詰めていたが、直前になって記録的な大地震に見舞われ、イベントの実施が危ぶまれた。

 大停電が回復し、生活が少し落ち着き始めたころに確認の電話がある。先方に大きなダメージはなく、予定通り実施したいが、こちらの状況はどうかと気遣ってくれた。
 今週から来週にかけて4本のライブ予定があり、数日前から練習も始めている。いろいろな意見はあるが、大きな被害がない場合、沈みがちな気持ちを元気づけるのに、歌は絶好の存在だと私は考える。
 ライブは苦手な午前中開催。台風と地震による寝不足やストレスもあってか、声がかすれ気味だったが、調整してほぼ回復した。
 イベント開始15分前の9時45分に先方到着。私の出番は最後で、タイムロスを減らすべく、機材を予め組み立ててステージ横の空きスペースに置いた。


 予定ちょうどの10時に開始。来賓挨拶などあって、10時15分から経営母体が同じ保育園の年長児による歌や踊りなどが披露される。
 予定よりかなり早い10時40分に終了し、ただちに機材をステージ上にセット。10分早く10時45分からライブは始まった。およそ40分で13曲を歌う。

「高原列車は行く」「二輪草」「バラが咲いた」「野ばら」「幸せなら手をたたこう」「月がとっても青いから」「ドレミの歌」「夜霧よ今夜も有難う」「ダニーボーイ」「恋のバカンス」「古城」「東京ラプソディ」「上を向いて歩こう(アンコール)」
 聴き手は職員を含めて50名ほど。大半が女性である。年代は高めだが介護度が低く、車椅子利用者は見当たらない。外出も自由で、一般の高齢者と大きな違いはないそうだ。
 事前のやり取りでそうした情報を知り、選曲は洋楽系3曲含め、やや新しい傾向にした。


 先方が用意した歌詞集が配られたせいか、曲後の拍手は少なめ。歌詞集はプログラム順にとじられていたが、高齢者が1曲ごとにめくって探し出すのは簡単ではなく、両手がふさがってしまう。
 拍手や手拍子はおろそかになりがちで、ライブへの集中度はどうしても弱まる。歌詞集を配る場合の大きな欠点だが、当初からの要望だった。

 曲によっては共に歌う声がステージまで届いたので、折衷案としてプロジェクターによる歌詞投影も模索すべきだったかもしれない。
 5曲目の「幸せなら手をたたこう」は歌詞カードを配らず、動作で楽しんでもらう趣向を最初から選択したので、場は大いに盛り上がった。
 最も強い反応があったのは、「夜霧よ今夜も有難う」。この曲はどこで歌っても強い。そのほか、「バラが咲いた」「野ばら」「古城」「上を向いて歩こう」にも手応えを感じた。
 反面、「ドレミの歌」「ダニーボーイ」「恋のバカンス」などの新し目の曲に対する反応はいまひとつ。介護度が低いケアハウスとはいえ、曲の嗜好に他施設との大きな違いはないように思えた。

 実は当初、保育園児も残ってライブを聴いてくれるはずだったが、前日になって参加しないことになった。子供用に予定していた曲のうち、「さんぽ」は「月がとっても青いから」に急きょ差し替えたが、「ドレミの歌」も演歌系の曲などに差し替えるべきだったかもしれない。
 予定が早まったせいで時間が少し余り、アンコールで埋めた。歌う直前に進行の職員さんと打ち合わせ済みの「時間調整アンコール」だったが、場の雰囲気には充分沿うものだった。