2007年6月6日水曜日

影の持つチカラ

 進行中の仕事がラストスパートに入った。1週間前に物件を依頼されたクライアントから昨日電話があって、納期を再確認。木曜中にメール納品ということになったが、出来れば今夜中にケリをつけたい。仕事は先延ばしせず、早め早めが肝心なのだ。

 7棟の住宅の出力と調整はすでに終り、最終段階の「添景」という物を貼りこんでいる。早い話が空や樹木、花のたぐいで、これらをすべてCGで作ることも可能だが、写真合成のほうが現段階でははるかに美しい。
 添景の貼りこみはパースにとって命を吹込むような作業で、これらをいかにバランスよく取捨選択し、配置するかで仕上がりが決まってしまう。デザイナーの腕の見せ所で、一番楽しい作業でもある。


 素材はネットでも簡単に買えるが、私は100%オリジナルを使う。空も木も花も、コツコツと足を使って好きなものをデジカメで撮影し、暇なときにこれまたコツコツと加工してきた。プロとしてのこだわりである。

 特に樹木を建物に合成するとき、樹木と建物との間に、淡い影を入れる。この処理をしていない作品にもよく出会うが、存在感がまるで違う。影の扱いひとつで、作品の完成度がガラリと変わる。
 写真の上が影なしで、下が影を入れたもの。影の濃さやぼかし具合は、全体のバランスを見て直感で決める。作業手順はかなり複雑だが、すべて独学で覚えた。
 物体の存在を際だてるのは影であると私は思っている。光があるから影や陰ができる。光だけでも影だけでもダメで、両方がうまく引き立てあってこそだ。
 つい最近作った歌に、「追いかけて 影を追いかけて 雲がついてくる」というフレーズがある。創造的な仕事のすべてが、影のチカラ抜きでは語れないのではないか。