2007年6月28日木曜日

タネが飛ぶ

 庭にある撫子(シナノナデシコ)の花が満開だ。これまで2度タネを植えたが、あちこちに移動しつつ、ずっと咲いてくれる。
 咲く場所が動くのはタネが飛ぶせいだろう。撫子は宿根草だとばかりずっと思ってきたが、一年草と宿根草の両方の性質があるそうで、いつも同じ場所に咲き続けるわけではないらしい。


 撫子は可憐で変化に富んだ色が美しく、咲く時期も長いのでとても好きな花だが、この「咲く場所が毎年変わる」というキマグレな性質は非常にやっかいだ。放っておくと、隣地にまで入り込んでしっかり花を咲かせていたりする。このキマグレさ加減は、どこか家主に似ている。
 今年は四方に散逸した花の根を春先に掘り起こし、台所の窓の真ん前にまとめて植え換えた。それでもまだ掘り忘れがあり、今日もまた別の株を隣地で見つけ、移植した。
 場所を選ばず、どこでも飛んでいって雑草の中でもしっかり咲くという逞しさは見習うべきか。
 末の息子が小学校の高学年で性教育を受けてきたとき、「僕のセイシ(つまり、タネですな)が知らないうちにどこかに飛んで行って、誰かのランシとくっついちゃったっら、どうしよう」と真顔で心配していたことがある。
 心配するな、セイシは勝手に飛んでいったりなんかしない。好きな人が出来て、しかもその人が「いいよ」って言わなきゃ、飛んでかないものなんだ、と諭すと、少しは納得した様子だった。
 この論理は大筋では誤っていないと確信するが、高校生や中学生が学校や公衆トイレで密かに子供を産み、始末に困って殺してしまう昨今の世情では、その自信もちと揺らぐ。

 やっかいな世の中にしてしまったよな。ヤレヤレ。