世界的な彫刻家、イサム・ノグチの代表作であるモエレ沼公園を散策しつつ、そのビュースポットにふさわしい歌をその場で歌う、という斬新な企画である。
忙しい忙しいといいつつ、実はこの日に備え、選曲や構成、そして連日の歌の練習など、万全の準備を整えてきた。
歌い手はこの私で、聴き手は妻とその友人二人。初めての試みなので実施前にはかなりの不安があり、大々的な告示は一切しなかった。だが、結果は晴天にも恵まれ、当初のイメージをはるかに越える満足のゆくもの。通りすがりの見知らぬ人たちもたくさん立ち止まって聴いてくれ、拍手をくださった。
ステージは全部で5ケ所設定した。強い風のせいで一ケ所だけ変更したが、ほぼ予定通りの場所でやれた。
歌った曲の6割はオリジナル。たとえば川べりでは川にちなんだ歌、森では森にちなんだ歌をそれぞれ歌った。
オリジナルの多くはズバリ、このモエレ沼公園で生まれた曲である。ここが大きなポイントで、似たような企画は誰でもやろうと思えば出来るかもしれないが、「その場で生まれた曲をその場で歌う」という切り口は、独自性が強いはず。
山も森も川も彫刻も、どこで歌っても、そこがたちまちユニークなステージへと変貌する。モエレ沼公園は歌う場としては本当に素晴らしいと再認識した。
午後1時半に始めて、歌いながら公園をぐるり一周して終ったのが午後5時。あとで数えてみたら、21曲も歌っていた。歌い手も聴き手も時の長さを少しも感じない、至福のひとときであった。来年もきっとまたやります。