(摘出した2個のポリープの両方にガンを確認)
漠然とした予感はあり、ある程度心の準備もしていたので、担当医から告げられた際も大きな動揺はなく、(来るべきものが来たか…)というのが正直な実感だった。
ただ、ガンのレベルは5段階中最低のステージ0、「大腸粘膜の中にとどまっているガン」で、いわゆる早期の大腸ガンという診断。病巣は今月上旬の手術で完全に摘出してあり、手術時点での取り残しはない。縫合部の再出血等もなく、術後の経過は良好である。
今後の治療方針は、およそ以下の通り。
・抗ガン剤投与や放射線治療、新たな手術は当面しない。
・3ヶ月後に他臓器に転移がないかどうか、腹部全体をCTスキャン。(深部にガンが浸透してないか、そこから転移してないかの確認)
・その1週間後、内部病巣の取り残しがないか再度の内視鏡検査。
転移や取り残しを明確にするには、術後3ヶ月の経過期間を置く必要があるという。
生活はじょじょに元のペースに戻してよく、弾き語り活動もほどほどなら構わないとのこと。深酒や過度の赤肉食、運動不足にストレスは大腸ガンの誘因にもなっていたと思われ、今後も禁物のようである。
(飲酒自体は適度であれば構わない)
かくして、ガン患者の仲間入りとなってしまった。気持ちとしては青天のヘキレキ、といった感じだが、こうなってしまった背景は、自分の健康に対する過信があったように思える。
若い時期に軽度の結核にかかったことがあり、肺のレントゲン検査には「痕跡あり、自然治癒」といまでも記される。何かの雑誌で「結核患者はガンにかかりにくい」と読んだことがあり、父親の家系にガン患者が皆無なこともあって、体質の似た自分はガンとは無縁と決め込んでいた。
64歳になるまでガン検診など受けたことがなく、入院や手術とも無縁。それもこれも単なる思い込み、油断であったということだ。どうやらガン家系の母の遺伝子を受け継いでしまったらしい。今後は真面目にガン検診を受け、生活習慣の改善にも努めたいと思う。
ガンであったことを知って、驚いたのは本人よりもむしろ周囲だった。ブログを読んで安否を尋ねてきた姉や息子、良性と信じて疑わなかった妻、さらには手術前から気遣ってくれた友人知人など。やはりガンは日本人にとって、まだまだ「死の病」であるらしい。
ポリープが柔らかく、便に押されて割れて出血に至ったことが早期発見につながり、その意味では非常にラッキーだったと、担当医は言ってくれた。
ただ、仮に3ヶ月後に転移や取り残しがないと確認されたとしても、身体にバクダンを抱え込んでいる事実は変わらない。
ステージ0の大腸ガンの5年後の生存率は95%であるとか。(他の疾病による死亡も含む)つまりは5%分の死のバクダンである。
私の両親が93歳という長寿(母はまだ存命)なので、先に死ぬのは自分、と決め込んでいた妻だったが、決してそんなことはないという事実を今回突きつけられ、かなり動揺している様子がうかがえる。
時が経てば、それは次第に心の準備へと変わってゆくに違いない。何があるか分からないのが人生だが、備えることはできる。