2013年12月22日日曜日

断酒会で歌う

 2日続きのライブだった。前日に引き続き、この日のライブも大腸ポリープ発覚前からネット経由で依頼されていて、担当医に詳しく事情を話し、どうにかお許しが出た。
 依頼主はNPO札幌連合断酒会。忘年会で歌って欲しいという。酒席や紫煙のたちこめる場でのライブは原則お断りしているが、会の主旨からして当然アルコールは一切出ない。会場が公的空間なので、完全禁煙。「アルコール依存症から立ち直るための市民組織」ということもあって、喜んでお受けした。

 会場は他のライブでよく行く市内西区の繁華街にある区民センター。あいにく下調べや音響チェック等が一切できない。電話で状況を確認した限りでは、PAに一抹の不安があった。
 無線マイク2本は確実に使えるとのことで、生音でも鳴るヤマハのエレアコを持参。ケーブルが長ければ、有線マイクも使えるかも…、とのことで、小型ミキサーやケーブル、各種コネクターも念のため持参した。
 前夜からかなりの雪が降ったが、日曜なので道は空いていた。約束の13時15分前には着いたが、あいにく駐車場が満車。少し離れた有料駐車場に停め、そこから歩く。
 厳しい真冬日で、雪も間断なく降っている。用心してタイツをはき、毛糸の帽子を持参して正解だった。

 会場に入って、まずは音響のチェック。長いマイク用ケーブルがあり、そこにミキサーからのアウト端子をつないでやれば、音は会場の大型スピーカーから出ることが分かった。
 持参のマイクとギターシールドをミキサーにつなぎ、ミキサーからのアウト端子をコネクター2種類を介して、マイク用XLR端子に接続。以前から準備してあったXLRコネクタが、初めて役に立った。


 機材の準備を済ませて舞台袖で待機。ステージ上では会員によるカラオケが発表されていたが、みなさん達者。直後の13時15分から私のステージは始まったが、ちょっとやりにくい雰囲気はあった。
 最初に音のテスト。幸いに音は一発で出た。ミキサーの音量を調整し、ただちに歌い始める。35~40分程度と聞いていたが、時間の都合で30分くらいに縮めて欲しいという。およそ33分で以下の10曲を歌った。
「涙そうそう」「レット・イット・ビー(オリジナル訳詞)」「つぐない」「ハナミズキ」「宗右衛門町ブルース」「サクラ咲く(オリジナル)」「人生いろいろ」「グッドナイト・ベイビー」「青春時代」「上を向いて歩こう(リクエストによるシングアウト)」

 聴き手は100人前後。ホールは広く、天井も高い。高さ80センチほどの立派なステージもある。モニターは一切ないので、勘で歌わざるをえない。かなり歌いにくい環境である。

 宴は11時半から始まっていて、およそ2時間が経過している。場はかなり間延びした印象で、こちらも歌い手にとっては難しい条件だった。
 モニターがないので、自分の声が出ているのかいないのか、はっきりしない。そこも大きな不安だったが、それでも熱心に耳を傾けてくださる方がかなりいて、ステージ上からそうした方に語りかけるように、ひたすら歌い続けた。
 聴き手は50~60代の男性が中心で、家族(奥様)の姿もチラホラ見える。最初は大人しかった場だったが、「宗右衛門町ブルース」から少し湧き始めた。構成は担当者との打合せで決めたが、もっと演歌系を増やすべきだったかもしれない。
 場が最も湧いたのは、「グッドナイト・ベイビー」。途中でテンポアップする部分で、全体から盛大な手拍子と歓声が起きた。この曲でこれほど強い反応があったのは初めてのこと。おそらく場の気分に合っていたのだろう。

 この勢いで、事前の打合せで決まっていたラスト曲「上を向いて歩こう」へ一気になだれ込むべきか一瞬迷ったが、予定通りに「青春時代」を歌った。これが判断ミス。前曲に引き続き、場は手拍子をしようとするが、テンポが早すぎて続かない。このあたり、実戦から遠ざかっていた弊害だったかもしれない。
 時間が押していたので、そのまま挨拶して舞台を降りようとしたら、期せずして「アンコール」の声。担当者からの「お約束アンコール」ではなく、場から湧いた自然発生的アンコールである。
 機材を再びステージ中央に戻し、ありがたく「また逢う日まで」を歌わせていただく。あとで思ったが、ここも手拍子が起きやすいクリスマスソング、「ウィンターワンダーランド」を歌うべきだった。これまた場の流れを読みきれない、小さな判断ミスである。

 難しい条件がいくつか重なったが、リハビリ的復帰第2弾のライブを無事に乗り切ることができた。