2013年12月6日金曜日

大腸ポリープ摘出..中編

 入院2日目。起床時間は6時だったが、ぐっすり寝込んでいて、6時15分の検温で起こされた。実は明け方3時にガスに混じって血便が少し出た。用心してティッシュ2枚をナプキン状に当てていて正解だった。
 事前に言われていた通り、すぐにトイレからナースコールし、状態を確認してもらう。当番の看護師さんは寝ずの番である。
 起床後の7時半にも軽い便意を覚えた。1日半近く食べていないので、何も出るはずがないが、トイレに走ると、また小指ほどの赤黒い血便が出た。再びナースコールして診てもらう。
 10時前に主治医がやってきて、いろいろと確認。血便は前夜の手術の残滓であろう、との話。前夜は微熱だった体温も平熱に戻っていて、血圧や血液検査の数値にも異常がなく、腹部の腫れや腹痛もない。
「患部からの新たな出血はないと判断します。退院にむけて、食事を始めましょう」との一声で、遅い朝食が運ばれてきた。


 10時に39時間ぶりの食事。定時の朝食時間はとうに過ぎているので、ロールパン2個に蜂蜜、バナナに牛乳&お茶という簡単なメニューだったが、これまでないほど美味しく感じた。
 食後、デイルームと呼ばれるフリースペースで時間をつぶす。広くて明るく、ソファやベンチが多数置かれ、飲物の自動販売機、週刊誌、自由に使えるシンクや電子レンジがある。家族の面会にも利用されており、よく考えられた空間だ。

 ここには部屋に常設のテレビ試聴用のカード自動販売機もある。1,000円で20時間視聴可能で、余った分は退院時に精算できる仕組み。
 1日目は気持ちの余裕がなく、テレビを観ようとは思わなかったが、手術も無事に乗り越えた2日目は食事が始まったこともあり、ようやくテレビを観る気になった。1枚購入し、12時15分に運ばれてきた昼食を食べつつ、NHKを1時間半ほど観る。
 BS放送はなく、小型の液晶だが、画面の方向や角度を自在に変えられるホルダーがついていて、なかなか便利である。
 昼食のメニューは全粥に豚肉の煮物、ビーフンと挽肉&野菜の煮物、キャベツのお浸しにフルーツ。ずっと食べていないせいもあり、何を食べても美味しく感じる。これぞ生きている喜びか。

 デイルームで週刊誌を読んで午後を過ごしていたら、14時頃に妻からの携帯が鳴る。どうということのない内容だったが、容態を案じている様子が言葉尻から分かる。このまま再出血がなければ、明日は退院可能であると告げて安心させる。
 当然ながら病院にオヤツやお茶の時間はなく、許されている飲物の中から「午後の紅茶」を自販機で買い、飲みながら病室でアマゾン・キンドルからタブレットPCに入れてあった「フランダースの犬」を読む。

 実は物心ついてからの入院は今回が初めてで、何かと戸惑うことが多い。小旅行と同じ備品を準備したが、歯磨き用のコップやキシリトールガム、爪楊枝などの細かい日常生活用品を忘れた。
 時間のつぶし方も難しく、テレビは普段あまり観ず、この病院ではネット接続も不可能なので、もっぱら本である。紙の本は2冊で、「無名」の他は三木卓の「野鹿のわたる吊橋」。
「無名」は妻の勧めで初めて読んだが、「野鹿…」は10数年前に一度読んでいる。記憶が薄いので持参したが、ラストが不条理ではないところが記憶に残らなかった理由だと再読して分かった。
 その他、タブレットPCに「青空文庫」からダウンロードした多数の小説を入れてあったはずが、SDカードのエラーで全データが消えていた。事前のチェックを怠った失敗。
 本で時間をつぶそうとするなら、最低でも300枚前後の小説を、入院日数分は持ってゆくべき。電子本のほうがかさばらず、暗くても読めるので重宝するが、媒体の充電器も忘れないこと。


 18時15分に夕食が運ばれたが、相変わらずの全粥。おかずは鱈のピカタ(美味)、豆腐と挽肉&野菜の煮物、キュウリ&トマトの甘酢あえ。読書と並んで、食事は入院時の大きな楽しみであると悟った。

 9時に消灯し、30分ほどラジオを聴いて寝ようとしたが、なぜか寝つけない。普段ではありえないが、丸一日何もせずにゴロゴロしていたせいかもしれない。起きて枕元のスタンドを点け、11時過ぎまで本を読んでいた。
 希望していた4人部屋の空きがなく、付加料金なしで個室を使わせてもらったので、かなりの気ままができた。ラッキーである。
(「後編」に続く)