2012年6月26日火曜日

生放送を乗り切る

 かねてから依頼されていた地域FM放送、ラジオカロスサッポロへのゲスト出演が無事に終了。ラジオへの出演は30代からけっこう多いが、最近は生放送が多く、ミスは許されないのでその分プレッシャーは強い。
 重ねて今回は生で1曲歌って欲しいとのことだった。過去にも同様に「歌って欲しい」との依頼はあったが、自信がなくて固辞。トークのみの経験しかない。しかしキャリアをそれなりに重ねた今回は、お受けすることにした。何事も経験、そして自身の向上と考えなおした。

 そうはいっても、プレッシャーであることに変わりはない。「森の時間~smiles」という、東日本大震災被災地支援系の番組なので、選曲は被災地復興支援ソングである「花は咲く」に早くから決めていた。6月上旬のチカチカパフォーマンスで初めて歌い、手応えを確かめてもいた。
 しかし、この歌は何度歌っても難しい。原曲が男女30数人の東北にゆかりのある著名人が分担して歌っているので、音程の幅が広く、メロディ展開も極めて難解。(このメロディ展開なら、次はこう収まる…)という予測をあえて外したような旋律で、覚えるまでに何十回もVTRやYouTubeで確認した。


 さらなる難しさは、歌う場所がラジオ局のスタジオ内であること。過去の経験から、椅子で座って歌うことが必須で、しかも狭い。譜面台はたぶん使えず、ギターもおそらくは生音。最近は余程のことがない限り立って歌うので、椅子が条件となると、非常に厳しい。
 いろいろ試した結果、自作した足台をまず使い、オベーションのギターで弾くのが最も安定することが分かった。譜面は単純に机の上に置いて歌う。

 キーは低めのEに設定。G#mやAM7などの面倒なキーも何とかスムーズに弾けるようになった。徹底的に練習して備え、ほぼ不安は解消。今朝は8時に起きて自宅でざっと練習し、待ち合わせの時間より10分早く着いたら、まだ誰も来ていない。ちょっとしたフライングだ。
 あれこれあって、11時から本番開始。挨拶やら歌を始めたきっかけ、支援系コンサートに出るようになったいきさつなど、進行の横山さんのリードで淡々と話しつつ進める。
 11時半ころになって歌う時間となる。タイトルを一瞬言い忘れそうになるが、直前で思い出す。軽いリバーブをかけてくれ、ヘッドホンでモニタしながら歌ったので、非常に歌いやすかった。
 ギターのラインはつながっていない生音録りだが、オベーションなら充分聴ける。スタジオが予想よりも狭く、ハイコードを押さえるのにちょっと苦労したが、これといったミスもなく、無難に4分間の歌を終える。

 聴き手はスタジオにいる横山さんと石丸さんの二人だけだったが、マイクを通して多くの人々に想いは伝わったと思う。そんな確かな手応えを感じた。
 生放送で弾き語るという初めての経験を無難にこなせたのは、修羅場ともいえる通りすがり対象のチカチカパフォーマンスでの経験が、おそらく活きているのだと思う。ストリートライブから多くのメジャー歌手が生まれる理由が分かる気がする。
 家に戻ると25度を超す暑さのせいもあって、猛烈な睡魔に襲われる。強いストレスからの解放感も手伝い、16時半まで爆睡してしまう。
 実は今夜は島津亜矢のコンサートが都心であり、割引券をすでに入手してあった。妻がずっと行きたがっていて、かねてからのファンである私も、一度彼女のステージを見届けたかった。
 少し疲れてはいたが、妻がやはり行きたいというので、17時半に再び車で出かけた。割引券なので席は最上階の一番奥だったが、予想通りの熱唱で、期待を裏切らないステージを堪能した。

 技術に走らず、ていねいに詩の世界を自分で噛み砕いて聴き手に伝える。彼女の歌唱を聴くと、歌に必要なものが何であるのか、自然に分かる。
 特に「長崎の鐘」「帰らんちゃよか」は秀逸。どちらも長崎が舞台の歌だが、聴いていて自然に涙が流れた。歌を聴いて泣いたのは久しぶりのこと。タマシイの入った歌だ。
 会場の人も同じ気持ちだったようで、「長崎の鐘」では、間奏の時点でさざ波のような拍手があちこちから湧き上がった。切ない歌ではあるが、あの歌で泣かせるのが彼女の真骨頂である。聴き手は正直だ。いいものを聴かせてもらった。