2011年11月7日月曜日

エキセントリックライブ

 昨夜、都心のカフエで実施のライブ「星の還る場所~いつか慈みの雨が」は、いろいろな意味でエキセントリック、つまりはちょっと毛色の変わった内容だった。
 お店の内装が自然素材系で統一されていて、梁材がむき出しの傾斜天井が非常に高く、我が家に似たコンセプトで造られている。市内のあちこちのカフェを散策するうちにたどり着いた店だが、どことなく居心地がよく、だいたい月に一度は顔を出す。

 客が少ないときは店主の女性と趣味や生き方などのヨタ話にふけり、混んでいるときは店主が毎週手書きで発行しているカフェ新聞をひと月分まとめて読んで時間を過ごす。


 通い始めて3年目になるが、雑談の中で「一度ウチの店で歌いませんか?」といった話になった。このあたりの会話の流れは実に自然で、長い月日の積み重ねに裏打ちされた信頼関係に基づくものだろう。
 過去にはいきなり訪れて「こちらの店でライブをやらせてください」といった無理難題を突きつけて当惑された苦い経験もあるが、何も下心がないほど、不思議にこうしたありがたい話が飛び込むもの。人と人とのつながりとはそういうものではないか。

 こうした経緯でライブをさせていただくことになったが、あいにく今年は5月に自主企画のソロライブをやったばかり。続けざまに実施するには集客面で不安があった。
 そこで半年の間をあけ、構成も春とはガラリ変えてしばらく遠ざかっているフォーク系オリジナルを中心にやることにした。
 歌の準備は着々整ったが、集客面では予期せぬ事態が続けざまに起こり、かなりの苦労を強いられた。一介のアマチュアが年に2度もソロライブを仕掛けること事態に無理があったということだ。
 とはいいつつ、当日になると長年の友人の好意にも助けられ、有料入場11名、さらにはお店のオーナー夫妻もライブ中は客席に座っていただき、こじんまりとした暖かい雰囲気の中でライブをやることができた。


 カフェの片側全面が吹抜け天井の上まで届く豪快なガラス張りで、そこから星のきらめきや街灯の光、車のヘッドライト等が室内にゆらゆら差し込むという、独特の雰囲気である。その空気感だけで明らかに歌が変わる。
 PAは持参したが、自らもオリジナルをギターで弾き語るというマスターに客席で事前チェックしてもらった結果、普段の50%ほどのボリュームが最適、との結論。ナチュラルリバーブがかかるので、PAなしの生音でも充分歌える環境だった。

 予定よりかなり早くお客様が全員集まってしまい、時間までを本番とは別な歌であれこれつなぐ。こんなに余裕のあるライブも珍しい。
 19時30分ぴったりに開始。35分で8曲を歌い、5分休んで20時10分から35分で8曲を歌う。事前に配ったプログラムにも記したが、ここから「EXTRA(おまけ)」と称し、さらに3曲を歌う。つまりは自主的アンコールのことで、聴き手に無用な気遣いをさせぬよう、考えぬいた構成である。
 終了は予定ぴったりの21時ちょうど。後半に喉が一部かすれ、ギターのタッチミスも少しあったが、妻のトータル評価は悪くなかった。何より、機会を作ってくださった店主の女性に喜んでいただけたのが幸い。最も不安だった集客面でも最低限のノルマは果たせた。
 一日経って音源をざっとチェックしてみると、思っていたよりも音はまとも。ボリュームを絞ったせいで歌っている間は自分の声があまり聞こえず、不安を抱えながらの進行だったが、出来としてはそう悪くない。
 とはいえ、年に2度の自主企画ライブ、しかもそれがソロとなると、集客面や気力体力面で相当きついことは確かである。当分は身の程をわきまえ、介護施設や地区センター、そして通りすがりを中心とした活動に専念したいと思う。

 活動を細く長く続けるには、何ごとも程々が肝心である。