各家庭によって事情は異なるだろうが、たとえば夫の手助けなしで以下のことが妻一人でできるか否か。
・切れた電球等の交換
・雪かき
・暖房ボイラのシーズン前リセット
・刃物を研ぐ
・預貯金の管理
雪国特有のものもあるが、できなければ他に頼るしかなく、ときには費用もかかって煩わしい。もし頼っていた場合、夫のいる間はよいが、死ぬなり、施設に入るなりした場合、たちまち対応に困ってしまうだろう。
我が家の場合、上記の5項目は、いまのところ私しかできない。(やらない)私に何かあったら、妻はかなり困るだろう。
反対に、夫が60歳くらいまでに妻の手助けなしで身につけるべき家事は、およそ以下のようなことになろうか。
・料理 ・洗濯 ・掃除 ・衣替え ・ゴミ出し
私の場合、夫の自立が重要であることに気づいてから、いろいろと修練を積み重ね、ほぼ妻なしでやれるメドがついた。現実に、3〜4日の旅行程度なら、何ら問題なく対応できる。
「自分は先に死ぬので、心配アリマセン」と豪語する方もよくいる。しかし、そうなるかどうかは、神のみぞ知る領域の話。まるであてにならず、そのときになってアワテテも、もはや手遅れ。
両親などを例に観察すると、自立の基礎トレーニングとして大事なのは、夫や妻が不在のとき、自分の生活のペースをきちんと守ることだ。
夫がいないから夕食は簡単に、入浴も省略、これがいけない。夫に対し、心理的に依存している証しである。すなわち、妻が自立していない証だ。誰がいようがいるまいが、食べるものは食べ、入るものは入って、観るものは観る、こうでなくては。それこそが自己のアイデンティティの確立、すなわち真の自立なのだ。
高齢者の場合、日々の生活のテヌキや乱れは、そのまま認知症への道につながっている。伴侶に対する心理的な甘えや依存心が、認知症への伏線になっている気がしてならない。くれぐれも用心、そして備えよ。