怪談物といいつつ、そう怖い映画ではない。ユーレイは確かに出てくるが、この映画は、「ユーレイも登場する人間映画」である。だから、ホラー映画を期待して観る人は、たぶん肩すかしを食らう。
あらすじの詳細を書くのは控えるが、時代背景は日本の戦国時代である。主人公の男は貧しい農民で、農作業の片手間に陶器を焼いている。その妻と妹夫婦をめぐる物語だ。
この映画のテーマは、イタリア映画の名作「道」に通ずる普遍のものだと、今回強く感じた。月並みだが、「人生で真に大切なものは何か?」という、重くて尊大なテーマである。そしてそれは、失ってみて初めて気づくということ。人間とは、そのようなものなのだろう。
ラストで愛していた女が死ぬのは「雨月物語」も「道」も同じだが、「雨月物語」にはある種の救いを感じる。「気づいたときからでも、人生やり直しはきくかな…」と思わせてくれる。
イタリア映画の救いようのない破滅的な終わり方も好きだが、たまにはこうして救われてみるのもいい。
小説でも映画でも、その時の自分の年齢や環境により、読むたび観るたびに、違うものが見えてくることがよくある。
還暦を間近に控えた我が身。年を重ねたことで、いままで見えなかったものが少しは見えるようになったのか。だとすれば、年をとるのもまた悪くないということになる。
昨日新規に入ったフォト合成の仕事は、明け方4時までかかって仕上げ、即納した。今回の先方の要求は、以下の通り。
・曲がって写っている建物をまっすぐに直す。
・上に絞られた広角画像を、平行な形に戻す。
・余分な電柱、電線、高圧線、アンテナ等を消す。
・売り出し用のノボリを消す。
・空を明るい青空に入れ替える。
・建物の色を明るい感じに変更。
・車と花壇、花や樹木をバランスよく追加。
およそこんな感じで、提供されたデジタル写真は1枚きり。難しい要求も中には含まれているが、すべてクリアした。依頼主は30年の実績を持つ広告クリエイターだが、ここまでやれるとは思ってなかったらしい。
実はCGでデータを作る作業はごくわずかで、大半は写真修正の技術である。いつも遊びでやっていることが、こういう時に役立つ。アソビを馬鹿にしちゃならん。