材料は新築時に余った床材を電動ノコで根気よく挽き割り、カンナをかけて仕上げたので、タダ。もちろん、自作である。
我が家は外部のガルファン鋼板や木壁の施工法、ウッドデッキの手すり、屋根の葺き方など、すべて縦で統一したいわば「縦の美学」をデザイン面では貫いているが、あえてこの部分だけを横にしたのは、「Too Much(やり過ぎ)」を回避するためだ。
多くの「縦」の中に、あえて少しだけ「横」を入れる。そこが大事なアクセントとなる。同じ理由で2階窓のブラインドも横仕様。
ところでこの玄関の窓からは、夏の期間だけ、タチアオイがちょうど見えるようになっている。この時期、階段の昇降のたびに鮮やかなタチアオイの赤が目を楽しませてくれる。今年はタチアオイの「額縁役」として、ツタの葉も加わった。
この種の窓を「ピクチャーウィンド」と呼ぶことがある。
我が家ではこの種の窓を結構意識していて、居間からウッドデッキに出るテラス窓にも、掘りごたつに座った位置からちょうど見える位置に、木々や花が見えるよう配慮してある。
2階への階段を昇りつめた位置にある窓からは、季節と時間によって昇る途中に天空に月がくっきり見えるし、昇ったあとでは、隣地に借景として立っている大きな木が正面に見える仕組みだ。
月や山、すでに生えている木などを「ピクチャー」として取り入れたい場合は、設計時点から窓の位置や高さを慎重に決める必要がある。階段前にある窓はその例で、設計者や住み主のセンスがある程度必要だ。
対して、玄関や居間の窓から見える木や花は、そうなるようにあとから木々を植えた。このやり方なら、家を建てたあとでも充分窓の「ピクチャー化」が可能で、それらの窓は日々の生活に充分な潤いと安らぎを与えてくれるだろう。