こまめにデジカメで撮りためた樹木や花の素材は数多くあるが、忙しさに追われると、つい手持ちの加工済みの物で間に合わせてしまう。
加工済み素材は樹木と花だけで200前後あり、質量とも充分といえば充分。吟味に吟味を重ねた物ばかりなので、自分の描く住宅のイメージにもピタリ合う。
しかし、「これでよし」と思った時点で、創造の道は行き止まり。趣味の音楽でも文章でも、仕事のデザインでもそれは同じ。常に「新しい何か」「人と違う何か」を求めてまい進することは、すべてのクリエイターにとって不可欠な心掛けではないか。
それで思い出したが、年末に再放送されたバイオリニストの神尾真由子のNHK特集を録画しておき、年が明けてからゆっくり観た。彼女は20歳の若さで昨年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝した天才だが、「人と同じことをやるのはイヤ」と、きっぱり言っている。
特集の中で語られた数々の「語録」には共感できるものが多く、若くして秀でる人はさすがに違うなと感心させられた。いずれ別の機会に、このブログでも引用させていただく。
昨年暮れに納めた仕事に、実はこの新しい素材を使った。写真の上が撮ったままの画像で、下がそれを加工してカタログの原稿として納めたCG画像。
住宅の色とデザインから、紫系の花がどうしても必要となり、手持ちの素材に適当なものがなくて、未処理の画像を急きょ加工した。
オリジナルは、近所のスーパーの店頭で春先に売られていた花を写したもの。不要な部分を切り取り、露出を住宅に合わせ、花のボリュームやバランスを切り貼りして調整すると、商品として初めて使えるものとなる。
写す場所はこうした園芸市や、近所の庭や公園。幸いなことに、これまで一度も「写すな」と言われたことはない。
(もし何か言われそうだったら、「ステキなお庭ですね、ぜひ写真を撮らせてください」と断るつもり)