2022年5月30日月曜日

本の修繕道具

 近隣地区センター図書館で実施の本修繕ボランティアに参加した。2度目となる今回は、前回より20分早い10時20分に到着。すでに5名のボランティアが作業に励んでいた。
 最初の修繕作業は、百科事典のように分厚くて重い郷土史の本。背の一部が大きく剥がれている。難易度は高そうだ。

 まず持参のプラ容器に修理用のボンドを瓶容器からスプーンで移し、水を少し加えて柔らかくした。
 前回の経験から、ボンドをつける作業は筆ではなく、先端の尖ったプラ容器から直接流し込むのがやりやすいと判断した。

 ネット情報を参考にし、手頃な蜂蜜の空容器に不要になった細マーカーの先端部を差し込む。周囲は電気コテで溶かして固定。穴の径が2ミリと手頃で、キャップも装着できる。事前に係員の了解も得た。


 やってみると、予想以上のやりやすさ。隙間に流したボンドを菜箸で均し、太い輪ゴムで締めて1冊目の作業を無難に終えた。

 続けて2冊目と3冊目に取り掛かる。どちらも単行本で、「のど」と呼ばれるページとページの谷間にあたる部分の剥離を直す。難易度は高くなく、前述の自作ボンド容器で簡単に終えた。
 この日、修繕を終えた本を固定する目玉クリップが不足していて、代替え策として固定には太い輪ゴムを二重にして使った。


 前回の経験ふまえ、今回は各種道具を持参した。前述の自作ボンド注入器のほか、作業台となるA3カッティングボード、汚れや繊維飛散防止用としてエプロン、本来は牡蠣むき用のスクレイパー、汚れをぬぐうおしぼり等々。
 透明カバーを貼る際に使うフェルトを接着した定規も持参したが、今回は出番なし。
 12時過ぎから4冊目の「鬼子」の修繕に取り掛かる。この本は過去に何度も修繕を繰り返した痕跡があり、最初の35ページ分が本体から脱落寸前の状態だった。難易度は非常に高いが、誰かがやらなくてはならず、係員と共に修繕方針を入念に調整した。

 4ヶ所ある透明テープ補修跡は剥離液ではがしてしまうのが仕上がりが美しいが、テストでやってみると、本文も一緒にはがれてしまう。
 作業中にページの一部を誤って切ってしまい、文字の一部もかすれた。2ヶ所やってあきらめ、残りは単純にのど部で切り離すことに。

この日修繕した4冊

 剥離液が乾いたのち、かすれた文字をペンで修復。切れたページは図書用の透明テープで貼った。
 体裁を整えた35ページ分を本体の背にあて、収まり具合をみるが、微妙にずれる。背についた過去の余分なボンドを切りはがし、ページをわずかに切り落とすなどし、調整を繰り返す。
 どうにか収まりがつき、他に2ヶ所あったのど部の剥離修理と共に、一気にボンドを流して接着した。輪ゴムで厳重に止めて終えたが、乾燥後にページの剥離がないか、再度見直す必要がありそうだ。

 終了時刻の13時になり、3時間弱の作業を終えた。古い接着テープの取り外しがうまく運ばず、結果として文字かすれやページ切れをやってしまい、悔いが残る。修繕の方針決定は難しいと思い知った。