2022年5月2日月曜日

本修繕ボランティア

 近隣の地区センター図書館で本の修繕ボランティアを募集していることを町内会回覧で知り、しばし考えたすえに応募することにした。
 読むことや書くことは大好きで、過去に手作り本を作った経験も何度かある。デザイン系の業務を長く続けてきて、各種デザイン道具もそろっている。停滞して先が見通せないギター弾き語り活動の代替え社会活動としても意義深い。

 本を返却するついでに、顔見知りの図書館員に参加したい旨を告げると、私でちょうど10人目のエントリーだという。センターの掲示板には、もっと以前から告知されていたようだ。
「おおむね10人程度」という心づもりが先方にあったようで、結果としてギリギリのタイミング。これも何かの縁だろう。

 作業は休館日の月曜に月1回実施されるが、時間は9〜13時のフレックス。都合のよい時間に出入り自由というアバウトな内容だった。


 その1回目が今日あり、10時40分くらいに図書室に出向いたら、すでに6〜7名の方々が黙々と作業に打ち込んでいた。
 過去の修繕経験を最初に聞かれ、使ってはいけない材料を確認。続けて本の各部名称の説明がある。説明を受ける間も他のボランティアから次々と質問が入り、1人だけの係員女性は大忙し。

 ではどの本を修繕しましょうか?という段になり、実は対象の本がこれだけありますと指す傍らの移動式書架には、数十冊の本がズラリ並んでいる。
 どうやら多忙で本の修繕まで手が回らないらしく、ボランティア募集の背景も、おそらくそのあたりか。
 ある程度の知識があることから、手近にあった「橋のない川」の修繕をやることになる。上製本だが、発行が古くて人気のあるせいか、傷みが激しい。過去の修繕痕跡もあった。
 最初に本の状態を確認する。表紙から見返し、本文と全ページの傷みと汚れ、その程度を丹念にチェック。問題のある箇所には付箋をはさみ、全て終わると係員と共に修繕の方針を決める。
 表紙には背の部分の上下(天地)にかなりの傷みがあり、検討の結果、全体をおおう透明カバーを境界線でいったん切り離し、表紙を裏側から補強したうえで、再度別の透明カバーをかけることに決まる。
 本文にもページが背から離れている部分が3箇所あったが、ボンド乾燥時間の都合で、最後にやることになる。

 切り離した表紙を裏返し、背の部分を10センチ幅のクラフト紙で補強。使うのは図書館に準備された専用の接着剤で、カッターやピンセット類は普段使っているものを持参した。
 続けて透明カバーをかける。過去に我流でやったことはあったが、係員の実技で本格的な手法を学んだ。それを見習って作業したが、確かに理にかなった手法で、美しく仕上がる。
 休憩なしで作業を続け、最後の本文の修繕に取り掛かろうとしたら、係員からすでに時間を過ぎているとの指摘。時計を見ると13時20分で、夢中になっていて気づかなかった。他のボランティアの方は順に帰宅していて、残っているのは係員を含めて3人だけ。
 完全に仕上げたかったので、自主的に作業を継続。急いで本文の剥離部分を修正し、剥離紙をはさんで3個の大型目玉クリップで固定。13時40分に作業を終えた。

 基本説明などあった関係で3時間もかかってしまったが、初回で上製本の難しい修繕を終わらせたのだから、まずまずの成果といえる。次回はもっとスムーズにやれるよう、足りない道具類も準備したい。