2016年9月9日金曜日

母の転倒

 朝9時半過ぎに、母の暮らす施設の看護師から電話がある。今日は入浴の日だが、左肘と左腰が痛いと訴え、入浴ができないのでシャワーで済ませたという。
 左の額に軽い打撲の跡もあり、職員は誰も目撃していないが、朝食後にどこかで転倒したように思える、とのこと。判断が難しいが、病院に連れて行ったほうがいいのでは?との連絡だった。

 朝食もそこそこに、ただちに車で向かう。自立歩行が難しいようで、母は車椅子に乗っていた。私の軽自動車だと乗り降りで痛むおそれがあるので、施設の大型車に車椅子ごと載せてもらい、すぐ近くの整形外科へと向かった。
 施設の職員はそのまま車で戻り、私が付き添いとして病院での手続きを代行する。痛む箇所を中心にレントゲン写真を数枚撮り、その後診察室に招かれた。
 医師の説明によると、左肘は単なる打撲で、湿布薬を貼って対処。額の打ち身は軽いが、今後万一頭痛などの症状が出た場合、脳外科での検査をすすめられた。
 問題は左腰で、股関節(大腿骨と骨盤の接続部)にヒビが入っていて、じっとしていると痛みはないが、動くと患部が痛むらしい。
 写真で見てもよく分からないほどのヒビで、骨折ではないので、安静にして自然治癒を待つしかない。希望すれば手術という手段もある、との診断だった。

 その後、施設に戻って職員や看護師の方々と相談。母は病院が大嫌いなので、手術や入院は極力避けたい。(過去に3度の入院で、いろいろトラブルを起こしている)しかし、施設が住宅型有料老人ホームなので、特養のような手厚い介護は期待できない。
 健康時の母は、身の回りのことは一通り自分でできて、あまり手はかからない。今日も意識はごく普通で、私のこともちゃんと分かっている。遅い昼食も自分一人で食べた。
 問題はベットの乗り降りやトイレを、介助なしではできないのではないか?との不安だった。

 午後から看護師の方が直接病院に行ってくれ、担当医と再度の協議。その後施設から連絡があり、母は車椅子から降りて、一人で歩いているという。トイレにも介助なしで行っている様子だった。
 午前中はあれほど痛がっていたのが、まるでキツネにつつまれたような話である。ご家族さまのご希望が第一ですが、どうなさいますか?と尋ねるので、しばし考えたすえ、2〜3日様子を見ることにした。
 悪いほうの可能性としては、無理をしてまた転び、(本人は転んだ覚えはない、と主張しているが)患部を悪化させてしまうこと。施設側も夜の見回りを増やすなど、しばらく目を離さないよう取り計らってくれることになった。

 それにしても、母の転倒はこれで3度目。6年前の最初の転倒では、胸骨骨折で1ヶ月近くも入院している。今年は春先にも室内で転んで、顔に大きなアザを作った。(その後自然治癒)人によっては、転倒がきっかけで車椅子や寝たきりになるケースもあり、亡き父がまさにそうだった。
 安全に設計された施設内で、多くの人の目があっても、転ぶときは転ぶ。やがて高齢者の仲間入りをする自分も、せいぜい気をつけなくては。