2016年9月12日月曜日

懐メロ歌声サロン

 車で10分ほどの距離にあるデイサービス敬老会で歌った。昨年9月にネット経由で初めて依頼があり、クリスマス会にも続けて招かれた。今回が「高くて険しい3度目の依頼」で、大きな壁をひとつ越えた。

 過去2回では、しっとり叙情系の歌が好みなのか、はたまたニギヤカ手拍子系の曲がいいのか、いまひとつ聴き手の傾向がつかみきれなかった。つまり、場が傾聴型なのか参加型なのか、まだはっきりしないということだ。
 そこで3度目となる今回は、手拍子系と叙情系の曲を交互に歌うという安全策で対応することにした。
 担当のHさんの希望で、全曲の歌詞を事前にプリントアウトし、聴き手に配って一緒に歌ってもらう、という趣向をこらしたいという。数曲の歌詞を配り、共に歌ったことはこれまでもあったが、全曲というのは初の試み。
 しかし、最近の傾向として、かっての歌声喫茶ふうの場作りがあちこちで試みられていて、中高年を対象に活況らしい。自分で歌集を作るには手間や経費もかかるが、今回は施設側でそれをやってくれるという。願ってもない話で、多少の不安はあったが、すぐに応じた。


 開始は14時10分の予定だったが、直前のイベントであるカラオケ大会で、かなり時間が押した。タイムロスを少なくするべく、控室で機材をセットして備える。15分遅れの14時25分からライブは始まった。
 考えに考えたセットリストは、準備の都合で1週間前に施設へFAX送信ずみ。先方の希望ぴったりの25分で8曲を歌った。

「憧れのハワイ航路」「瀬戸の花嫁」「お富さん」「ここに幸あり」「上を向いて歩こう」「荒城の月」「丘を越えて」「高校三年生」
 聴き手は50〜60名ほど。直前のカラオケ大会が大変な盛況で、1曲目はその気分をやや引きずった感。いまひとつノリが悪かった。
 2曲目の「瀬戸の花嫁」では一転して一緒に歌う人が多数。ここから場の雰囲気は一気に「懐メロ歌声サロンふう」へと切り替わった。


 聴き手が歌詞を見ながら歌うので、手拍子やかけ声による聴き手参加型の曲は歌わなかった。強いて言うと、「お富さん」は手拍子を自然に促す曲だったが、数人の職員さんが代りに手拍子で盛り上げてくれた。
 持ち時間が少なめなので、全曲をフルコーラスでは歌わず、一部は省略した。「次の曲は1〜2番だけ歌います。ご協力、お願いします」などと歌う前に告知。歌集にはフルコーラスが印刷されていて、うまくやれるか不安だったが、何も問題なかった。
 歌そのもので聴き手がライブに参加するスタイルなので、場をリードする役目である私の歌は我流のクセを極力なくし、いわゆる「ため」や「走り」の類いは一切使わずに、ごくごくオーソドックスな歌唱法を貫いたが、この部分も非常にうまく運んだ。
 以前に妻にテストしてもらったことがあるので、キーは特にいじらず、普段通りに歌ったが、こちらも全く問題なし。

 中盤から後半にかけ、多くの歌声が吹き抜けのある空間に響き渡り、場がいつものライブとは異なる不思議な共有感に包まれた。若いころに新橋の歌声喫茶に数回行ったことがあるが、間違いなくそのときの空気感だった。
 終了後、担当のHさんから「やっぱり菊地さんの演奏は盛り上がります」と感謝された。初めての試みだったが、懐メロ歌声ふうサロン、成功と評価していいと思う。他の場でもやってみる価値は充分ありそうだ。