一人で観るには惜しくなり、途中から妻も参加。最近は2人でなかよく観ている。
テレビドラマはシリーズ3、計30話まで終了。私が見始めたのは、確かシリーズ2の始まったあたりから。見逃したシリーズ1をぜひとも観たいと思っていたら、嬉しいことに今年になって地元局で深夜に再放送が始まった。
もともとはビッグコミックオリジナルで連載中の漫画である。原作を読んだことはないが、安倍夜郎という漫画家の作品で、ほぼ原作に沿った内容で作られているとか。
新宿の片隅にある小さな食堂が舞台で、営業時間は深夜0時から朝7時ころまで。この深夜食堂を舞台に繰り広げられる様々な人間模様がドラマの核である。
その「深夜食堂」が映画化されるというので、封切りを待ちかねて妻と連れ立って観に行った。
上映館は札幌JRタワー東棟にあるステラプレイス7Fの札幌シネマフロンティア。合計12スクリーン、2705席もあるという、巨大な映画複合施設である。
「深夜食堂」が上映されるのは112席あるシアター10だったが、平日の昼間なので楽に座れるだろうと、上映開始5分前に受付に行ったら、すでに「満席」の表示が。封切りから数日経過していたこともあって一瞬目を疑ったが、考えが甘かった。次の上映は2時間半後の16時半からである。
帰りが遅くなるのは避けたかったので、受付に直談判してみた。すると、最前列の端でよければ2席空いている、とのこと。迷わず買った。
予告編などあって、14時10分くらいから本編開始。3話のオムニバス風の構成になっていて、各話のおよその内容は以下の通り。
・第1話「ナポリタン」(約20分)高岡早紀、柄本時生
・第2話「とろろご飯」(約50分)多部未華子、余貴美子
・第3話「カレーライス」(約45分)筒井康隆、菊池亜希子
主演のマスター役は不動の小林薫。この人抜きに深夜食堂は語れない。全話を通じて登場するお店の常連さんも多数。全てテレビドラマの各話で登場した人物で、テレビを欠かさず観ているファンなら、2倍楽しめるはず。
テレビ版同様、各話には全て食べ物のタイトルがついているが、いずれもごく庶民的な食べ物ばかりで、そこがこの物語のツボ。
各話の詳細は明かさないが、期待を裏切らない内容だった。ゲスト出演者では、多部未華子の熱演が光った。個人的には第2話の出来が最もよかったように思える。
全話を通して登場する「不思議な忘れ物」の謎解き役として田中裕子がラスト近くに登場するが、あの部分は謎のままで終わらせ、謎の行方を観る側に委ねたほうが物語としての広がりがあった気がする。
上映後に振り返ると観客の多くが私たち同様の中高年で、そういう作品であるということだ。「夫婦50割引」を利用し、通常1人1,800円のところを1,100円で入場。最前列なのでやや姿勢が苦しかったが、その分気兼ねなく足を投げ出せた。
改めて感じたのは、「人は誰もが安らぎを求めてる」「人は美味い食べ物に惹かれて集まってくる」という単純な事実。心のこもった美味しい食べ物は、人生の安らぎそのものであるということか。
前回がいつだったのか思い出せないが、久しぶりに「出かけて映画を観る」という非日常を満喫できた。
帰宅後、映画の中で何度も登場した美味そうな卵焼きを妻に焼いてもらい、ほっこりと食べた。