車で30分ほどの距離にある有料老人ホーム、誕生会イベントに出演。全国展開の組織で、市内にある系列の4施設からは、それぞれ定期的に招かれている。
今回の施設は、およそ1年半ぶりの訪問。都合3度目となるが、全般的に明るめの曲を好む傾向があり、記録によれば前回も大変な盛り上がりだった。
開始20分前に着いて、担当の職員さんと細かい打合せ。最初に施設側のイベントがあるが、その冒頭で「誕生日の歌」をギター伴奏でリードして欲しいという。つまり、開始時点で完全に音が出せる状態にしておく必要があった。
14時30分からイベント開始。まずは「誕生日の歌」を2度繰り返して歌う。その後2月が誕生日の入居者の紹介、プレゼント贈呈などがあって、予定より7分早い14時38分から私のライブが始まった。
2日連続の介護施設系ライブとなるので心身の負担を減らすべく、構成は前日と似た内容で臨んだ。およそ40分で13曲を歌う。
「北国の春」「おかあさん」「真室川音頭」「みかんの花咲く丘」「幸せなら手をたたこう」「リンゴの唄」「宗谷岬」「サントワマミー」「矢切の渡し」「月がとっても青いから」「いい日旅立ち」「高校三年生」「青い山脈」
施設側の嗜好等を配慮し、3つの歌を差し替えた。
「二人は若い」→「幸せなら手をたたこう」
「お座敷小唄」→「サントワマミー」
「浪花節だよ人生は」→「高校三年生」
歌い始めると、前回とは明らかに空気感が異なることに気づいた。各席にケーキと飲み物を配る職員さんの動きが慌ただしく、聴き手も食べるに忙しく、いまひとつ歌への集中を欠いた。
施設側から要望されていた「40分程度」という演奏時間はきちんと守ったが、前回飛び出したアンコールも今回はなく、もちろんリクエスト等もない。歌い手としては消化不良のイメージで終えたライブとなった。
終了後に自分なりに分析してみたが、いつも元気なかけ声で場をリードしてくれる入居者の男性の顔が、なぜか今回は見えなかったこと。全体的に入居者の高齢化が進み、デイサービスと違って入れ替りも少なく、それが反応を弱くさせた大きな要因のように思われた。(入居時に一時金を納入するシステムの有料老人ホームは、概して入れ替りが少ない)
老いてゆくのが人としての自然の摂理で、その流れに棹さして引き止めるのは、一介の歌い手にとって至難の業といえよう。
多様な嗜好にもある程度対応できる態勢が整ったいまの自分には、聴き手が固定化された有料老人ホームやグループホームより、聴き手の入れ替りが激しく、嗜好も幅広いデイサービスや地域サロンのような場が向いているような気がする。
自分の技量に応じて、場も自然に移り変わってゆく。