2015年2月21日土曜日

水の流れるままに

 ネット経由で依頼があり、昨年12月に歌わせていただいたばかりのデイサービスから再び招かれた。好評だったので、ぜひにとの要望。
 同じ施設での間隔の短いライブは禁物だが、前回とは曜日が異なり、利用者の大半が入れ替わるというので、ありがたくお受けした。

 場所は車で10分ほどの近場で、開始20分前に到着した。前回は厳しい真冬日で参加者は少なかったが、この日は春を思わせる温暖な陽気。参加者は倍の30名ほどに増えている。安全をみてスピーカーを2台持参して正解だった。
 予定ぴったりの14時から歌い始める。突発リクエスト、職員さんとのコラボ演奏、アンコールなどあって、およそ55分で18曲を歌った。
(※はリクエスト)(◎は職員さんとのコラボ演奏)
「北国の春」「おかあさん」「真室川音頭」「みかんの花咲く丘」「二人は若い」「リンゴの唄」「宗谷岬」「少しは私に愛を下さい※」「少年時代※」
「お座敷小唄」「矢切の渡し」「月がとっても青いから」「いい日旅立ち」「浪花節だよ人生は」「あの素晴しい愛をもう一度◎」「青い山脈◎」「影を慕いて※」「ソーラン節(アンコール)」


 初めて歌った前回は、涙あり笑いありの大変な盛り上がりだったが、その流れで依頼された2度目は、実は要注意である。聴き手は同じ感動を求めがちだが、どのような優れた歌い手であっても、短い間隔ではどうしても飽きられる。ニンゲンとは飽きる動物なのだ。
 聴き手は大きく入れ替わっていたが、前回と重複する顔も見える。そんな展開を見越し、構成は大幅に変えて臨んだ。春の到来をイメージし、気分を一新してニギヤカ系の曲中心で構成した。
 全体として、ほぼ思惑通りにライブは運んだ。途中で利用者の方から飛び出したリクエストは、普段ならプログラム終了後に歌うが、今回はラストに職員さんとのイベントが控えていることもあって、流れの途中にはさみ込んだ。
 そのコラボ演奏、マイクは職員のKさん(男性)に握ってもらい、私は伴奏に専念。サビの部分だけノーマイクで合唱したが、これがぶっつけ本番にも関わらず、非常にうまくいった。会場もヤンヤの喝采。
「アンコール!」の声も飛び出し、予定にはなかった「青い山脈」まで一緒に歌うことに。そもそも最初に声をかけてくれたのがKさん。コラボ演奏の提案もKさん自身である。

 普通はこれで場は収まるが、一度上がった熱はなかなか冷めず、その後も請われるままに2曲を歌う。レパートリーにない「影を慕いて」は、うろ覚えのままアドリブで1番だけを歌ったが、まずまず満足していただけた。
 終了後、進行の職員さんが「みなさん、なにか菊地さんにご質問は?」と、これまた全く予定にないことを問う。するとすかさず、「普段歌っているお店があれば、教えてください」との声あり。チカチカパフォーマンスでもしばしば問われるが、あいにくそんな店はない。

 そこで、「札幌駅前通のチカホで月に数回歌ってます」「近隣の地区センターロビーで年に3回ほど歌ってます」と告知すると、案内状が欲しい、オリジナルCDがあるなら買いたい、と思わぬ方向に話が展開する。
 どちらも持参してなかったが、ぜひにとの要望に、終了後にKさんがわざわざ自宅まで取りに来てくれることになる。信じ難い話だが、CDが2枚売れた。

 介護施設系の場でライブ告知をしたり、CDを販売したりなど、これまで考えもしなかったが、今後はある程度準備しておくべきなのかもしれない。川が流れるままに、小舟はゆらゆらと水に漂ってゆく。