デッキに通ずるガラス戸を開けて外に出てみると、案の定台所の窓下で、一羽の小鳥がのびている。さわってみると、わずかに身体を動かす。気絶しているだけで、死んではいないようだ。
水でもかけて目を覚ましてやろうかと一瞬思ったが、身体を冷やすより暖めたほうがよいのかもしれないと、判断がつかない。
飛び立ちやすいようにひとまず草の上に身体を起こしてやると、目をキョロキョロさせて不安そうだ。そのまま30分ほどそっとしておき、もう一度外に出て確かめてみたら、草の上に鳥の姿はなかった。どうやら無事に飛び立ったようだ。よかった。
1階南西の窓は日照の恩恵を充分に受けるよう、写真のように角全体がガラス窓になっている。暖房費が非常に安くつき、お手軽なエコロジー手法なのだが、時に鳥が窓にぶつかることがある。
我が家は間仕切壁のほとんどない開放的な間取りなので、外から見るとあたかも通り抜けられるように鳥には見えるのだろう。鳥たちにとっての危険ゾーンなのだ。
鳥に対しては罪なことをした。レースのカーテンかブラインドを吊せば抑止効果があるかもしれない。だが、あいにく私たち夫婦は、あくまで開放的な空間を好む。
ぶつかる鳥たちの種類はさまざまだが、低い窓なので、さすがに大型の鳥はやってこない。スズメ、アカゲラ、キレンジャクあたりだ。
今日のように気絶しただけで息を吹き返す鳥もいるが、中にはそのまま死んでしまう鳥も少なくない。鳥の体重とスピードによるのだろう。運悪く死んだ鳥たちは、庭の木の根元に埋めて小枝か小石で塚をたて、手厚く葬ってやる。せめてもの罪滅ぼしである。
鳥や小動物が家に入ろうとする家は栄える、という話をいつかどこかで聞いた。そうだといいな。今日は死なずに息を吹き返したことだし。