例によって、なるべく安上がりに染める手段をあれこれと画策。染め粉を使うのが手っ取り早いが、100円ショップを調べても、さすがに染め粉は存在しない。手芸店で手に入るのは分かっていたが、価格は500円を軽く越える。アマゾンでも送料込みで700円を越す。予算オーバーだ。
妻がときどき使っている白髪の部分染めが転用可能ではないか、と思いつく。髪の毛が染まるなら、毛糸も理論的には染まるはずだ。
1箱398円の品のうち、およそ1/3ほどを試験的に使ってみた。すると、確かに染まりはするが、色が薄い。チューブ式のクリーム状なので、色ムラも出やすい。
次に試したのは、何と墨汁。未使用品が引出しの奥に眠っている。染め粉の代用として使っている人もごく少数だが、いた。2日間に渡って2度染めてみたが、多少色が濃くなるくらいで、大きな変化はない。これでは使えない。
この時点でちょっと諦めかけたが、一日頭を冷やすうち、以前に手描きで建築パースを描いていた頃に買ったカラーインクのことを思い出す。CG化の流れですっかり出番を失ったが、まだいくつかを捨てずに箱に残してあった。
調べを進めると、インクを染料に使う場合、色止めとして酢を使うと効果的であると知る。一番安い500cc入り87円の酢を買ってきて、さっそく試した。以下、その手順。
1)染める毛糸のハンチング(約80g)をぬるま湯に浸す。
2)お湯を2L沸かし、バケツに投入。酢を120cc(お湯の6%)入れ、インクを70cc入れてよくかき混ぜる。最終的にチャコールグレーのような色に仕上げたかったので、インクは濃い青、濃い茶、黒の3種を適当に混ぜた。
3)毛糸のハンチングを2)の溶液に浸し、ときどきかき混ぜつつ、30分以上おく。
4)取り出して、ぬるま湯で色が出なくなるまですすぐ。
5)形を整えて陰干し。
通算4度目のトライで、ようやくイメージに近い色に染め上げることに成功。クセのない色なので、手持ちの冬物コート類、セーター等、どれにもよく合う。
最初に染めた白髪染めによる色ムラが一部残ってしまったが、絞り染め風の濃淡に見えなくもない。手持ちのどのハンチングとも雰囲気が異なるので、普段使いとしてはもちろん、ストリートライブ用のアイテムとしても間違いなく役立つ。
今回のテストで、インクでも定着剤に酢を使えば、立派な染料になり得ることが分かった。インクはおそらく100円ショップでも入手可能。今後、毛糸以外でも試してみる価値は充分ある。