次なる候補の駐車場を順に回るが、この日に限ってどの駐車場も満車。時間はどんどん経過し、開始時間が迫ってきた。1時間200円の駐車場はあきらめ、270円の駐車場にようやく空きを見つける。これが最初の予期せぬトラブルだった。
小走りに事務局に向かい、到着が14時。手早く手続きを済ませ、会場で設営を始めたが、途中で床の上に丸いシミを見つける。(何だろう?)と不思議に思って確かめると、何と血である。
(誰がこんな場所に…)と一瞬思ったが、よく考えると周囲には自分しかいない。あわてて見まわすと、右手小指がざっくりと割れ、血が滴っていた。これがこの日2度目の予期せぬトラブル。
あまりに急いで機材を組んだため、どこかに引っ掛けてしまったようだが、痛みの自覚は全くない。しかし、血は止まらないので、テッシュと機材補修用のビニルテープをきつく巻いて応急処置。床の汚れも水とテッシュでていねいに拭きとった。
設営終了後、ただちに歌い始めた。時計はすでに14時20分近く。完全に出遅れている。動揺が歌に出ないよう自分を落ち着かせたが、普段のペースとは言いがたい。出だしの数曲は調子が悪く、気の動転がやはり歌に現れてしまったかもしれない。
この日は先日作りなおしたストリート専用の小型椅子を持参し、久しぶりに試すつもりでいた。姿勢が低いので通りから見下げる感じになり、人が集まりやすのでは…?と期待したが、結果として集客に大きな変化はなかった。
第1ステージではいつものように昭和歌謡系の曲を中心に、およそ30分で10曲を歌う。
「サボテンの花」「空港」「恋のしずく」「白い想い出」「赤いスイートピー」「年下の男の子」「男と女のお話」「抱きしめて(オリジナル)」「グッドナイト・ベイビー」「熱き心に」
この日は前日よりもさらに集客は悪かったように思う。私の主たる聴き手である中年女性の姿が通りに少ない。年度末にさしかかり、新生活にむかう子供や夫の諸準備に忙しいのでは?と、帰宅後に妻が語っていたが、当たっていたかもしれない。
そう考えると確かに、都心の駐車場が極端に混んでいた事情とも合致する。人の動きとは、何とも難しいものである。
とはいいつつも、「赤いスイートピー」「男と女のお話」「グッドナイト・ベイビー」「熱き心に」などの得意曲では、かなりの人が立ち止まってくれて、売上げもそれなり。季節に応じたこの種の得意曲を、今後も少しずつ探りながら増やすことだ。
共演の弥勒さんのステージをはさんで、15時30分くらいから第2ステージ開始。フォークを中心に、8曲を今度は立って歌った。
「サボテンの花」「サルビアの花」「なごり雪」「風来坊」「少しは私に愛を下さい」「サクラ咲く(オリジナル)」「さくら(直太朗)」「東へ西へ」
集客は前半よりもさらに減り、反応があったのは「なごり雪」「東へ西へ」の2曲くらい。睡眠不足のせいか喉の調子がいまひとつで、応急処置した右手小指が気になって、細かいアルペジオにも微妙な食い違いを感じていた。こんな日は無理に引っ張らないことだ。
終了後に集計してみたら、売上げは1ステージのみだった前日とほぼ同じ。トラブル続きの割にマシな結果ではないかと、前向きに考えることにしよう。