同時に、「あなたが何らかの措置を講ずる必要はありません」「あなたの動画は、まだ全世界で見ることができます」「動画の横に広告が表示される場合もあります」ともある。動画に急に広告が表示されるようになった訳は、まさにこれだ。いったい、何がどうなった?
調べてみると、どうやら動画に著作権に関わる内容が含まれている可能性がある、との警告文らしい。しかし、「瀬戸の花嫁」はアップロード後1週間、「オー・ソレ・ミオ」に至っては、2ヶ月も経ってからの警告で、そもそも2つの動画とも、カバー曲を歌ってはいるが、何ら著作権にふれる行為はしていない。
参考までに、YouTubeに自分で演奏したカバー曲をアップする行為は、JASRAC管理曲や、著作権の切れたクラシック曲などに限ってOKである。
(2008.10にYouTubeとJASRACとが包括利用許諾契約を締結)
上記の2曲はいずれもJASRAC管理曲で、この点では問題ない。歌も演奏も私自身で、使っている写真や映像は、すべて私が撮影したもの。著作権に関わる音声、画像等は一切含まれていない。それではなぜ?
さらに調べを進めると、「サードパーティのコンテンツに一致」とは、既存のCDやDVDの内容と、アップした動画の音声や映像が一致してますよ、(または、限りなく近いですよ)という警告らしい。
写真や映像は全く問題ないので、疑われているのは音声データだ。つまり、私の歌が市販のCDやDVDの何かと酷似している、との指摘のようだ。
最初は痛くもない腹を探られたようで気分を害したが、調べを進めるうち、だんだん面白くなってきた。疑われた2つの曲をYouTubeで検索してみたら、多くの人が歌っている。この中で、私と同じように広告が表示される動画はないか調べてみた。
すると、「オー・ソレ・ミオ」でひとつだけ発見。こちらはアマチュアらしきグループによるライブ映像だった。
「瀬戸の花嫁」はアマチュアでカバーしている人はなく、もちろん男声のギター弾き語りなど皆無。そして、小柳ルミ子本人の歌では、音源をレコードやCDから録ったと思われる動画には、広告が表示された。しかし、本人の歌でも、テレビ映像を使った動画には、なぜか広告は表示されない。全く不可解な話である。
真相はいまも定かではないが、音楽会社によってはYouTubeに自社の所有する音声データを提供し、検索ロボットのようなものでアップされる音声データと逐一比較を行っているらしい。「完全一致」と判定された場合、その場で警告が出され、消去されることもあるとか。
ロボットの精度はまだ100%ではなく、ある確率で一致すると、(疑わしい…)という判定になるようだ。おそらくはカラオケの採点マシンのようなアルゴリズムなのであろう。
一時は曲を削除することまで考えたが、面白いので、しばらく様子を見てみたい。「瀬戸の花嫁」は偶然、小柳ルミ子の音源とキーが全く同じだった。チェックマシンが騙された所以はそこか。こうなればいろいろカバー曲をアップしてみて、マシンとの騙し合いに励むというのも一興である。