2011年7月24日日曜日

ライブの当たり外れ

 友人を伴って帰省した息子の接待と、ぴったりスケジュールが重なった近隣の町内会夏祭りイベントへの出演とに忙殺された2日間だった。
 諸事情で4時間ほどしか眠らぬまま、午前中から慌ただしくライブ会場へと向かう。場所は徒歩20分ほどの近隣公園だが、機材の関係で車で出かけた。

 会場ではすでに音楽仲間のチロリンさんがスタンバイして待っていてくれた。実はこの日はチロリンさんが所属する町内会のお祭りで、二人で臨時ユニットを組んで歌う予定だった。ところが、10日ほど前にチロリンさんが持病の腰痛を悪化させ、歩くのもやっとの状態。ギターの音合わせは不可能となり、やむなく私のソロステージとしてやることになった。
 結局、チロリンさんは今週手術をするらしい。私と同い年だが、ご両親の介護と町内会の世話役、経営する介護施設の仕事などが重なり、身体のあちこちに軋みが出ているようだ。全く人事ではない。


 いつもふれているように、お祭りイベント系ライブは苦手。なにせ「叙情歌シンガー」と自らうたっているのだ。酒を伴うドンチャン系イベントは、どのような形でも気持ちが先に引いてしまう。
 しかし、非常事態なので、そんなことは言っていられない。かねてから準備したプログラムを基本に、一人で30分を歌い切る覚悟を決めた。
 11時過ぎからPAのチェックをかねてマイクテストを行う。まだ町内の人は集まっていず、回りは関係者だけだが、なぜかこのマイクテストの評判がよく、つい調子に乗って5曲ほどを歌ってしまう。
(あとで考えてみたら、準備段階なのでアルコールはなく、聴いてくれる条件が整っていた)

 12時から祭りは始まり、屋台での飲食をしつつ、12時45分からイベント開始。最初は町内の子供太鼓だったが、この種の鳴り物はお祭り系イベントには強く、音を聞きつけて集まってくる人も結構いた。聴き手はざっと150人ほど。盛況である。


 太鼓は15分間で終わり、すぐに私がステージに載る。スタンバイは完全に済ませてあったので、1時過ぎからライブは始まった。
 この日のセットリストは、好評だった先日の障がい者施設イベントでの構成を基本にし、30分で以下の8曲を歌った。

「上を向いて歩こう」 「涙そうそう」「手のひらを太陽に」「北の旅人」(南こうせつ) 「ソーラン節」「さくら」(直太朗)「ピクニック」「真珠貝の歌」

 結論から書けば、不満の残る手応えのないライブだった。子供太鼓の派手なパフォーマンスに「食われた」面もあっただろう。太鼓終了を潮に、開始1時間で飲食の終わった聴き手が、かなり席を立ってしまったこともある。
 そんな悪条件下でも聴き手を場に引き止める魅力が私にあればよかったが、それは無理な相談だった。
 歌っていて手応えを感じたのは、「上を向いて歩こう」「北の旅人」 「ソーラン節」くらい。特に後半が冗漫に陥ってしまった印象だ。
 見かねてチロリンさんが最後の3曲にアドリブでリード伴奏をつけてくれた。(予備ギターの用意はあった)おかげでいい感じで歌えたが、それが聴き手に伝わっていたかどうかは、はなはだ疑問。歌い手だけが気持ちよくなっても、ライブとしては全く意味がない。

 そんな中、叙情系フォークの「北の旅人」は本番でもマイクテストでも手応えを感じた。おそらくいまの自分に合っている歌なのだろう。
 反面、先日の障がい者施設で好評だった「涙そうそう」はノレンに腕押し。全く歌は場によってコロコロと評価が変わる。だからライブは面白く、そして難しいのだが。

 当てたり外したりがライブの定めだ。ずっと「当たり」のライブなど、プロでもあり得ないこと。冷静な自己分析なくして、成長など望めない。
 最近「当たり」が続き、ともすれば増長し、「勘違い」しそうになっていた自分をいましめる、よいクスリとなったステージであった。