2011年4月20日水曜日

元祖TomtomBox

 古いメールのiMac-G5への転送も無事に終わり、もう使わなくなったeMacをいよいよ処分するべく、メモリを抜いて中古ショップで売る算段をしたり、ハードディスクの完全消去の準備をするうち、eMacに残したままの古いゲームソフトのことがふと気になった。

 私が最初にパソコンらしきものを買ったのは1987年。8bit4MHzのMSXという機種で、まだWindowsのように統一されたOSはなく、機種毎に別々のシステムで動いていた時代だった。
 内蔵HDはなかったが、フロッピーディスクやキーボード、マウス、モデム、プリンタが使え、その気になればかなりの作業がやれた。3人の子供と私はこの機種でさまざまなパソコンの技を遊びながら覚えたもの。キーボードを使ってプログラムを打ち込み、簡単なゲーム作りもやった。
 当時はワープロやファミコンの全盛時代で、パソコン自体がまだ珍しく、3人の子供たちにはファミコンを与えず、「ゲームの裏側はこうなっとるのだ」と、頑固にオヤジの理屈を語っていたように思う。
_コンピューターは大学の卒論でも使ったので拒否感はなく、一番熱心に使っていたのは私かもしれない。1200bpsという化石のように遅いモデムを使い、パソコン通信(いまでいうネット掲示板のようなもの)も1980年代終わりからすでにやっていた。
 ゲーム作りにも打ち込み、当時あった「MSX-FAN」という専門誌に作品がかなり採用され、結構な小遣い稼ぎをしたものだ。


 そんなノウハウの蓄積をふまえ、自作のゲームや小説、CGや音楽を1枚のFD(フロッピーディスク)に詰め込んだ「パソコン同人誌」なるものをいきなり作った。
 1993年3月創刊で、告知は折よく「MSX-FAN」に採用になったゲーム紹介の余白でやったので、第1号からかなりの読者(確か100名くらい)がいた。通信配布形式で年4回ペースで発行。ネタ切れで6号で休刊したが、このときのFDは全てイメージファイル化し、古いeMacに保存してあった。
_MacOS9ではエミュレーターという変換ソフトで見られたが、それを現状のOS10.4でも何とか見るべく悪戦苦闘していたが、「openMSX」と「NekoLauncher openMSX」というエミュレーターソフトを見つけ出し、ようやくうまくいった。
 画像はその元祖TomtomBoxの1994年夏の最終号。その2年後に開いたホームページ版TomtomBoxと内容やビジュアル、インターフェイスが酷似している。メインロゴもほぼ同じデザインだ。
 当時は8個の「箱」が存在し、それぞれに作品が詰まっている仕掛けだったが、20年近くの時が過ぎたいまも、その基本システムに変更はない。

「Tomtom」は私の名前をもじったものだが、パソコン通信で当時使っていたハンドルネームが同じ理由から「TOMすけ」。その後、一級建築士事務所の登録名までも「TOM工房」に変更してしまい、仕事の取引先ではもっぱら「TOMさん」と呼ばれ、いまや仕事やパソコンには直接関係のない趣味の知人からも、「TOMすけさん」と呼ばれる日々である。

 その後この「TomtomBox」を経由し、小説や音楽、CGなど、数々の創作物が世に送り出され、いろいろな形で結実した。仕事の発展にも大きく寄与してくれた。
 すべてはこの「元祖TomtomBox」から始まった。時を経たいまでも、当時の読者とのつきあいが続いている。感慨深いですな、しみじみ。