2011年4月15日金曜日

日没する国

 震災の事後処理をめぐる与野党の攻防が、国民不在、被災者不在の醜い様相を呈してきた。会議を連発するだけで強いリーダーシップが不在、具体策がまるで見えない与党も与党なら、ただ批判するだけで、原発社会の根源を作ったヨボヨボの長古老にオウカガイを立てないと何も判断できないナンジャク野党党首。
 どちらも視点はまるで国民側になく、見えるのは自己保身の党利党略のみである。

 見舞金すら満足に支給されずに、はや1ヶ月余。ようやく東電が一時金支給を決めたが、これとて放射能避難民限定で、大多数の地震津波難民には、まだ何も具体案が示されていない。こんな状況でよく暴動が起きないものだと感心する。


「首相を交代せよ」というのがどうやら野党の共通した主張のようだが、トップの首をすげ替えて、事態が劇的に好転するとはとても思えない。そもそも、与党には人材がいないのではないか。
「大連立を組んで野党から首相を」というのが野党の甘い期待と狙いのようにも見えるが、まだ衆議院では民主党が圧倒的多数で、与党がそんなことを許すはずもなく、そもそも自民党にこの難局を速やかに乗り切るほどの人材があるのだったら、一昨年の歴史的衆議院選挙敗退はなかっただろう。
 繰返しになるが、やはり日本国民には選択肢がないのである。

 こうなればいっそ即座に衆議院を解散し、選挙運動ナシの自粛型選挙でもやるしかないような気がしてくる。猫の目のようにコロコロ変わる最近の「民意」からすれば、見事与野党逆転となり、自公連立政権復活、というシナリオが濃厚である。
 だが、以前にも書いたように、向こう3年弱は参議院選挙はない。参議院の現状で自公は半数の121議席にはるか及ばない103議席である。衆参のネジレは相変わらず解消されず、民主党を中心とした野党は、ここぞとばかりに与党を封じ込めるに違いない。
 そうなると国会を円滑に進めるためには、衆議院選挙で自公が圧倒的多数の2/3を得るしかない。
 やってみないと分からないが、こんな混沌状況下では、自公で2/3はさすがに難しいのではないか。先の統一地方選でも自民党は決して圧勝したわけではなく、単に民主党が退潮しただけ、といった印象が強い。
 解散総選挙をしてみたはよいが、与野党が交代しただけで、国民と被災者が取り巻く状況に大きな変化はなく、国会は堂々巡り。すぐに世論(国民)は政治に不平不満をもらし始めるに違いない。

 こんな状況を作った根源は、昨年の参議院選挙における「消費税増税はイヤだから、民主党には投票しない」という国民の選択だった。これが容易には解決しないネジレを生み、一昨年の民主党圧勝の「民意」が、ほとんど無に化した。
 繰返しになるが、政治の主役は政治家ではなく、国民である。国民が賢明にならない限り、国は迷走を続け、やがて閉じてゆく。
「日出ずる国」とイニシエには言われたこの国だが、震災をひとつのきっかけにして、じょじょに「日没する国」として沈んでゆく気がしてならない。