2009年5月30日土曜日

ライブのミス

 その年によってバラつくが、だいたい年に15~20本くらいの弾き語りライブをこなす。場は雑多で、別サイトにあるHPに詳しいが、居酒屋系、イベント系、介護施設系、路上系、自宅系といったあたりか。この年齢と体力からすれば、ほどほどの望ましい数であろう。
 どのような仕事や趣味、家事や学業に至るまで、人間である限りミスはつきものだが、弾き語りライブもその例外ではない。
 細かいものは別とし、ライブでの記憶に残る過去最大のミスは、あるプロ歌手の大きなコンサートを企画した際、本番で1曲だけ一緒に歌わせていただいた折のミスで、あろうことか、一度もミスったことのない2番の歌詞を間違えた。
「2番の出だし部を、1番で歌ってしまった」という単純なものだが、ミスはミス。譜面台に歌詞カードは載せてあったし、歌い慣れた曲であったのに、自分でもなぜそんなことをやらかしたのか、いまだによく分からない。

 すぐに修正して被害は最小限に留めたが、一部の人には気づかれた。ただ、全く気づかなかった人もいたので、ミスとしては、そう目立たなかったのかもしれない。
 ビッグイベントを長い期間リーダーとして取り仕切り、神経をすり減らしたあげくの大事な本番で、そこにあり得ないミスの入り込む隙間があったといえばあった。しかし、そんな我が身の事情をあとで優しく思いやってくれたのは、我が妻だけだった。


 ライブ終了後、真っ先に楽屋に飛び込んで詫びをいれた。
「ボクだった間違うことはあるから、気にしなくていいよ」と言ってくれたが、慰めにはならない。以降ミスにはこりて、念には念をいれて準備するようにした。

 その3年後、同じ歌手が馴染みのライブハウスで歌う機会があり、久しぶりに聴きに出かけた。しかし、(もしかして、また一緒に歌うことになるかも…)と用心し、危なそうな曲は一通り練習してから出かけた。
 予想は当たり、ライブの後半で予告なしにステージに呼ばれた。3年前の悪夢のあの歌で、プレッシャーはあったが、今度はちゃんとノーミスで歌い切った。どちらにしても、プロ歌手とのセッションはキツい。もうコリゴリだと思った。
 以前に井上陽水が、ライブ本番でとんでもないミスをしたことがある。私のと似ていて、1番と2番の歌詞の一部取り違えであるが、本人は何食わぬ顔で歌い切った。私はすぐに気づいたが、その場に居合わせた何人が気づいただろう。
 プロでも大きなミスをすることは確かにある。問題はその対処法だ。以降、その真似をすることにした。

 歌詞を間違えても、コードを間違えても、声が途中で一部途切れても、あくまで素知らぬふりを通し、最後まで歌い切る。あまりに自信に満ちた顔に、聴き手は自分の聴き間違いであったかのように錯覚してしまう…。
 およそこのような姑息な手段だが、かなり効果的であることは間違いなく、有名なカバー曲はともかく、オリジナル曲なら何ら問題なく終わる。

 喉の調子が悪く、途中で一部声が途切れてしまった場合は、さすがに歌い終えたあとで謝るが、他は終わったあとでも一切黙っている。
 最悪なのは、「スミマセン」だとか、「歌詞を間違いました」などと、クドクド終わったあとで弁解すること。聴き手に対する免罪符のつもりが、かえって気を遣わせ、聴き手の負担になるばかりである。何も言わないほうが余程マシ。

 久しぶりに今日のTOM語録。
《ライブでのミスは知らぬふりを通すべし》