2009年5月11日月曜日

文体のリズム感

 母親の十三回忌で関東方面に明日旅立つ予定の妻が、そわそわし始めた。タンスをひっくり返し、着ていく衣類やら、着替えを準備している。ついでに、引き出しの整理まで始め、不要な衣類をまとめて処分していた。
 妻の母親と私の父との命日がいずれも5月なので、法事がぶつかると何かと忙しい。しかし、どちらも連休は微妙に避けているので、移動に限ると楽である。
 妻が留守中に食材が切れては何かと不便なので、乾物や酒類を中心に補充している。今回は姉妹での旅行もかねていて、4泊5日と滞在が長い。自炊もいつもより多くなるが、レパートリーはどんどん増えているので、あまり不安はない。
 インフルエンザが少し心配だが、生きている以上、身を屈めて一切の人ごみを避けることは不可能だから、せいぜいマスクでも持参して備えるしかない。

 今日はこの旅行のために買ったような妻専用の携帯電話を充電し、プリペイドカードも追加入力した。「かかってきた電話を受け、電話帳や着信を使ってかける」という基本中の基本は何とか会得しつつあるが、まだよく理解していない電源の入り切りの方法など、細かく教える。
 ライブの翌日なので歌は一切歌わず、喉の完全休養日。夕方から夜にかけ、以前に地域図書館から借りていた芥川賞受賞作「ひとり日和」(青山七恵著)を読む。
 20代前半の若い女性の作品だが、描写や構成は巧みで、非常に読みやすい小説だが、一本突き抜けた魅力は感じなかった。小説的に緻密過ぎて、ババ臭い印象がした。小説に出てくる重要な人物が71歳の老婆、というせいもあるのか。

 細かい人物描写や季節描写をコツコツと積み重ねるよりも、行動や思考そのものをトントンとリズムよく描く手法が、どうやら私の好みのようで、それはとりもなおさず、「菊地さんの文体には独特のリズム感がある」と、以前に複数のプロの方から指摘された事実と無関係ではないだろう。
 自分がやっていること、目指したいことを人は肯定するもの。そうですよね。