2009年5月15日金曜日

永遠のライバル

 妻のいない一人暮しの最終日。明け方にやけに冷えると思い、トイレに起きたついでに外の寒暖計を見ると、マイナス2度。これは寒いはずだ。

 いつもより早めに起き、昨日仕上げたノレン風カーテンをかかえ、午後1番で実家にむかう。例によって予告なしで現れた息子に母は驚いていたが、今月は法事がらみで、よく顔を出している。
 開口部の寸法は頭に入っていたので、カーテンはぴったりだったが、支持棒だけは長いまま持参し、現物合わせして持参のノコで切った。支持棒の受け枠は、以前に自宅で使っていた端材を利用したもの。写真のように、15分ほどであっさり完成した。
 カーテンは中央にスリットがあり、閉めたままでもそこから自由に出入りできる。通ったあとは、自然に元の位置に戻る仕組み。私の家にも同様のノレンがあちこちにある。
「これで暖かくなる」と、母は大喜び。材料代にとお金を差し出すが、さすがに受け取れない。そもそも、かかった費用は支持棒の188円のみである。

 布は長女が演劇をやっていたとき、衣装として使った物の残りで、家を出るとき「捨てていいよ」と言っていたのを大切にしまってあった。
 白いので汚れが目立つ可能性もあるが、壁と同じ色なので、よくなじむ。陽当たりがあまりよくないので、部屋が明るくなるという思わぬ利点もあった。


 実家の設計はすべて父の主導でやった。父も建築士の資格を持っていたので、強いプライドがある。新築時に相談もされたが、私が意見を言うと、ことごとくぶつかったので、全面的に降りた。以降、設計や施工には一切関知していない。
 父と息子とは永遠のライバルのようなものだ。少なくとも私たちの場合は。

 この開口部は家の通気面では好都合だが、居間と台所の合計で、18畳の空間ができてしまう。セントラル暖房ならこれでもよいが、いまどきFFストーブの個別暖房で、母一人の節約生活になると、ストーブのない台所がどうしても寒くなり、冷風が流れてくる。
 本来ならそうした事態に備え、いつでも閉じられる引き戸なりを設けておくべきだが、そのあたりのセンスが父には欠けていた。もう仏様になった人を、いまさら責める気はないが。
 家に戻って図書館で借りた井上陽水に関する本を読む。「満月空に満月」(海老沢泰久著)というエッセイ風ノンフィクション。タイトルはいうまでもなく陽水の「東へ西へ」という曲の1フレーズで、著者は直木賞作家らしいが、いままで知らなかった陽水の一面がいろいろ書かれていて、一気に読んだ。

・陽水は幸徳秋水の子孫という説は誤り。
・陽水は中学時代、脇毛や陰毛がなかなか生えず、悩んでいた。
・高校時代は弓道部に入っていた。
・デビューのきっかけは、ラジオのアマチュア参加音楽番組への投稿から。
・曲を作るときはメロディが先で、あとから歌詞をテキトーにはめこむ。

 特に2~3番目は私と同じで、親近感を覚えた。性的にはかなりのオクテだったらしい。対して、曲の作り方は私と全く逆。私の場合はタイトルか歌詞の一部分がないと、まず曲は生まれない。
 他にもマニアックな内容満載なので、ファンには一読をお勧めする。