車検証ケースには1ヶ月と6ヶ月の点検保証書が添付されていて、それを窓口で見せるだけ。買った店とは違うのだが、車が売れない世相も反映しているのか、対応は非常にいい。
予約は午後1時だったが、出発直前に換えたばかりの冬タイヤに、シールが1枚ついたままなのを発見。そのまま走るわけにもいかず、苦心してはがしたら、30分遅れてしまった。
そのせいかは分からないが、終わるのに1時間はかかるという。季節柄、冬タイヤの交換業務がたてこんでいるのだろうか。立派なロビーで待つように言われたが、近所のヤマダ電機に用事があったのでそこから歩いて行き、時間をつぶすことにする。
場所は札幌都心から石狩へと抜ける通称「石狩街道」沿いで、ふと見ると、併行して流れる創成川沿いに、河川敷公園が整備されている。車窓から見たことはあるが、歩いたことはない。散策がてら、ここを通って行くことにした。
川沿いの緑地はまるでヨーロッパのような美しい佇まいだった。繁る木々にも歴史を感ずる。12~13歳のころ、この近くに住んでいたことがある。その頃もポプラの木が生えていた。おそらく当時の木も残っているはずだ。
公園は木道が整備されていて、歩きやすい。その木道に散らばる無数の落ち葉。その上をジョギングの人がゆっくりと走ってゆく。絵になる。
ふとある歌を思い出した。脱サラ直前の時期、最後の東京の秋に流行っていた「恋人よ」のフレーズそのままの光景だ。
散らばった落ち葉は、自然の織りなすオリジナルデザイン。人間がチマチマ工夫をこらしたとしても、このありのままの美には到底及ばない気がする。
1キロほど北に歩き、そこから西にあるヤマダ電機へと向かう。幹線道路と併行し、これまた緑地公園が延々と整備されている。自転車と歩行者とが区別され、自転車通路は焼き過ぎレンガ敷。こちらの歩行者用通路はクラッシュレンガを混ぜた土である。雨によるぬかるみを避ける配慮だろうか。なかなか心憎いことをやってくれる。
途中、紅葉が緑と黄色と赤の3段階に別れた見事な低木を多数発見。種類は不明で、あまり見かけない木だ。じっとながめるうち、自宅の庭にも欲しくなった。機会があれば、挿し芽で増やしてみるか。
ヤマダ電機でプリンタの接続ケーブルを買い、別の道経由で戻る途中、古い農家の納屋を見つけた。以前にも車窓から見かけたことがある。住宅街のど真ん中だが、周囲にはまだ畑もあり、都会の中の異空間だ。
北方住宅の原点のような家で、大工だったいまは亡き父がよく建てていた家も、ほぼこのような単純形状の三角屋根であった。私も自宅を設計する際、影響を受けている。
壁はドイツ下見板張、屋根は長尺トタンの蟻掛葺で、サッシは一部断熱サッシが使われている。いまは車庫と納屋だが、もしかすると以前は人が住んでいたのか。
壁も屋根もよく手入れされていて、シンプルな機能美を感じる。壁の濃い茶色と屋根のベンガラ色(濃赤)のバランスが絶妙。しばし、見とれる。
あちこち見て歩いたせいで、店に戻ると1時間半が過ぎていた。車はスッキリと洗車までされていた。次回点検は来年の4月、今度は春の散策が楽しめるかな。