およそ以下のような対応を目下とっている。
1)ギター以外の機材は2階に運び上げず、玄関ホールに置いたままにする。
2)電子譜面搭載のタブレットとリバーブのバッテリー残量を前日に必ずチェック。
3)セットリストの調整も前日に済ませておく。
4)練習はPAなしの生歌で、出発直前に軽く15分程度。
介護施設での2ヶ月続きのライブは普通やらないが、施設側からの強い要望である。曜日が変わって利用者が大幅に入れ替わること、秋から冬への季節の変わり目で、前回の秋メニューから冬メニューへと切り替える時期でもあった。
連続ライブでも場に飽きられる要素が少ないと判断し、お受けすることに。
定刻よりやや遅れて、14時4分くらいからライブ開始。およそ40分で14曲を歌った。
「三百六十五歩のマーチ」「二輪草」「ソーラン節」「バラが咲いた」「二人は若い」「365日の紙飛行機(初披露)」「高校三年生」「灯台守」「お座敷小唄」「雪國」「さざんかの宿」「月がとっても青いから」「森の記憶(オリジナル・リクエスト)」「東京ラプソディ」
前回との重複曲は「バラが咲いた」「高校三年生」「月がとっても青いから」の3曲のみ。曜日は変わっても、全体的に大人しい場の雰囲気は変わらず、手拍子やかけ声等の反応はごく少ない。
前回熱心に声をかけてくださった利用者のIさんとOさんが、今回も利用曜日を変更して聴きにきてくださって、いろいろと声をかけてくれた。
ライブはこのお二人を中心に会話のキャッチボールをしながら進める形になり、進行としてはやりやすかった。
この日が初披露の「365日の紙飛行機」は、AKB48が歌うNHK朝ドラのテーマ曲。覚えたてだったが、新しすぎて介護施設で歌うには、やや不安があった。
そこで事前に歌うべきか否かを場に問う、という手法をとった。反応がなけば飛ばすつもりでいたが、先のIさんとOさんから「ぜひ聴きたい」との声。強い反応のなかった他の利用者にも配慮し、2番を省略して短めに歌った。
前回同様に、ラスト前にリクエストを募る。チカチカパフォーマンスや叙情歌サロンのようにリクエスト一覧は配らず、「お応えできる範囲で」と前置きして、場からの自由な声を期待するのがいつもの手法だ。
すると、ただちにOさんから「森の記憶」をぜひに、との声。一瞬耳を疑った。「森の記憶」は10年ほど前に作ったオリジナルで、「輪廻転生」をテーマにした難解な世界観の曲。介護施設系ではもちろん歌った例がなく、自宅系ライブで数回歌っただけだった。
実はIさんとOさんは前回のライブで私の歌を気に入っていただき、直後のチカチカパフォーマンスにも来てくださった。YouTubeも一通り聴いたそうで、アップしてある「森の記憶」が最もいい、と意見が一致したらしい。
難解ではあるが内容的には高齢者むきで、場に相応しいと言えなくもない。長らく歌ってなかったが、結局ご希望に沿うことに。
自分の歌なので、さすがに忘れてはいない。あとからのOさんのメールで知ったが、聴いていて涙が自然に流れたという。確かに通じるものはあった。
終了後にIさんからも「今日は《森の記憶》が生で聴けてよかった」との声。利用者全体から見ての評価がどうだったのか判断は難しいが、この一点だけでも歌い手としては充分に満足できる。
2011.11.6 カエルヤ珈琲店ライブ版